花間集 訳注解説 (430)回目《孫光憲巻八37竹枝二首其二 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10607
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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」。、現在、①李白集校注詩全詩、②昌黎先生集全40巻他全詩、③杜詩詳注、④花間集、⑤玉臺新詠、⑥薛濤詩 全訳注解説 | |||||
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花間集 訳注解説 (430)回目《孫光憲巻八37竹枝二首其二 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10607
(男に対する女性の思いの深さを詠う。)
男と女は乱れてもつれた縄のように(おとこ)、恋人との絡み合いの深さを思うのです(おんな)。越羅の布地を一萬丈でも用意するけれど(おとこ)、女が着るのは上着のタケたったの一尋だけです(一人だけを愛して欲しいもの)(おんな)。
柳にも男と女があり、おとこの楊と女の柳がゆれるその身近にある関係を保ち(おとこ)、その思いは枝をたらしていることで通ずるものとなる(おんな)。 ハスの花弁を開いてくれても、やがて散り尽くしてしまうもの(おとこ)。それこそが蓮の実が見えてきたことであり、女のまごころなのです(おんな)。
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| 花間集 巻八 孫光憲 (7) | |
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孫光憲 (7)
定西番二首 其一 鷄祿山前游騎,邊草白,朔天明,馬蹄輕。 鵲面弓離短韔,彎來月欲成。 一隻鳴髇雲外,曉鴻驚。 定西番二首 其二 帝子枕前秋夜,霜幄冷,月華明,正三更。 何處戍樓寒笛,夢殘聞一聲。遙想漢關萬里,淚縱橫。 河滿子一首 冠劍不隨君去,江河還共恩深。歌袖半遮眉黛慘,淚珠旋滴衣襟。 惆悵雲愁雨怨,斷魂何處相尋。 玉蝴蝶一首 春欲盡,景仍長,滿園花正黃。粉翅兩悠颺,翩翩過短牆。鮮飇暖,牽遊伴,飛去立殘芳。無語對蕭娘,舞衫沉麝香。 八拍蠻一首 尾拖金線長,怕人飛起入丁香。越女沙頭爭拾翠,相呼歸去背斜陽。 竹枝二首其一 門前春水(竹枝)白蘋花(女兒),岸上無人(竹枝)小艇斜(女兒)。商女經過(竹枝)江欲暮(女兒),散拋殘食(竹枝)飼神鵶(女兒)。 竹枝二首其二 亂繩千結(竹枝)絆人深(女兒),越羅萬丈(竹枝)表長尋(女兒)。楊柳在身(竹枝)垂意緒(女兒),藕花落盡(竹枝)見蓮心(女兒)。 思帝鄉一首 如何?遣情情更多。永日水堂簾下,斂羞蛾。六幅羅裙窣地,微行曳碧波。看盡滿地疎雨,打團荷。 |
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| 孫光憲《花間集所収の全詩》(7) | |
| 竹枝二首其二 訳注解説 | |
| 玉臺新詠集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ | |
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竹枝詞
竹枝詞とは、民間の歌謡のことで、千余年前に、楚(四川東部(=巴)・湖北西部)に興ったものといわれている。唐代、楚の国は、北方人にとっては、蛮地でもあり、長安の文人には珍しく新鮮に映ったようだ。そこで、それらを採録し、修正したものが劉禹錫や、白居易によって広められた。それらは竹枝詞と呼ばれ、巴渝の地方色豊かな民歌の位置を得た。下って唱われなくなり、詩文となって、他地方へ広がりをみせても、同じ形式、似た題材のものは、やはりそう呼ばれるようになった。
竹枝詞をうたうことは、「唱竹枝」といわれ、「唱」が充てられた。白居易に「怪來調苦縁詞苦,多是通州司馬詩。」 とうたわれたが、ここからも、当時の詩歌の実態が生き生きと伝わってくる。後世、詩をうたいあげることを「賦、吟、詠」等とは大きく異なる。
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| 作者 | 花間集 | | 初句7字 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其一 | 白帝城頭春草生 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其二 | 山桃紅花滿上頭 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其三 | 江上春來新雨晴 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其四 | 日出三竿春霧消 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其五 | 兩岸山花似雪開 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其六 | 瞿塘嘈嘈十二灘 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其七 | 巫峽蒼蒼煙雨時 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其八 | 城西門前艶預堆 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其九 | 楊柳靑靑江水平 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其十 | 楚水巴山江雨多 | |
| 劉禹錫 | 尊前集 | 竹枝詞十一首其十一 | 山上層層桃李花 | |
| 白居易 | 尊前集 | 竹枝詞四首其一 | 瞿塘峽口水煙低 | |
| 白居易 | 尊前集 | 竹枝詞四首其二 | 竹枝苦怨怨何人 | |
| 白居易 | 尊前集 | 竹枝詞四首其三 | 巴東船舫上巴西 | |
| 白居易 | 尊前集 | 竹枝詞四首其四 | 江畔誰家唱竹枝 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其一 | 檳榔花發竹枝鷓 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其二 | 木棉花盡竹枝茘 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其三 | 芙蓉並蔕竹枝一 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其四 | 筵中蝋燭竹枝涙 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其五 | 斜江風起竹枝動 | |
| 皇甫松 | 尊前集 | 竹枝詞六首其六 | 山頭桃花竹枝谷 | |
| 孫光憲 | 巻八 | 竹枝二首其一 | 門前春水竹枝白 | |
| 孫光憲 | 巻八 | 竹枝二首其二 | 亂繩千結竹枝絆 | |
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孫光憲 竹枝二首
竹枝二首其一
(男と女の歌 二首のその一)
門前春水(竹枝)白蘋花(女兒),岸上無人(竹枝)小艇斜(女兒)。
おとこは、家の正面には春の増水したきれいな川の流れのようなもの、おんなはそのみずにもてあそばれる白い水草の花のようなもの。男は別れて去ってゆくが岸には見送りの女ひとりもいなくなる、おんなは軽快に小舟が岸から離れていくのを見る。
商女經過(竹枝)江欲暮(女兒),散拋殘食(竹枝)飼神鵶(女兒)。
男の所から「玉樹後庭花」という歌を謡う妓女は通り過ぎて、日ぐれ時にばひとまずかえり、おとこは食べ残しをまき散らすようなもので、おんなは神鴉のようなもので餌で飼われるのです。
(その1)
門前 春水(竹枝) 白蘋の花(女兒),岸上 人無く(竹枝) 小艇 斜す(女兒)。
商女 經過して(竹枝) 江 暮れんと欲し(女兒),殘食 散抛【さんほう】して(竹枝) 神鴉に飼ふ(女兒)。
竹枝二首其二
(男に対する女性の思いの深さを詠う。)
亂繩千結(竹枝)絆人深(女兒),越羅萬丈(竹枝)表長尋(女兒)。
男と女は乱れてもつれた縄のように(おとこ)、恋人との絡み合いの深さを思うのです(おんな)。越羅の布地を一萬丈でも用意するけれど(おとこ)、女が着るのは上着のタケたったの一尋だけです(一人だけを愛して欲しいもの)(おんな)。
楊柳在身(竹枝)垂意緒(女兒),藕花落盡(竹枝)見蓮心(女兒)。
柳にも男と女があり、おとこの楊と女の柳がゆれるその身近にある関係を保ち(おとこ)、その思いは枝をたらしていることで通ずるものとなる(おんな)。 ハスの花弁を開いてくれても、やがて散り尽くしてしまうもの(おとこ)。それこそが蓮の実が見えてきたことであり、女のまごころなのです(おんな)。
亂繩 千結して(竹枝) 人を絆【ほだ】すこと 深く(女兒),越羅 萬丈(竹枝) 表の 長【たけ】は 尋【ひとひろ】(女兒)。
楊柳 身に在りて(竹枝) 意緒を 垂らし(女兒), 藕花 落ち盡して(竹枝) 蓮心を 見る(女兒)。
(本文)
竹枝二首其二
亂繩千結(竹枝)絆人深(女兒),越羅萬丈(竹枝)表長尋(女兒)。
楊柳在身(竹枝)垂意緒(女兒),藕花落盡(竹枝)見蓮心(女兒)。
(下し文)
竹枝二首(その2)
亂繩 千結して(竹枝) 人を絆【ほだ】すこと 深く(女兒),越羅 萬丈(竹枝) 表の 長【たけ】は 尋【ひとひろ】(女兒)。
楊柳 身に在りて(竹枝) 意緒を 垂らし(女兒), 藕花 落ち盡して(竹枝) 蓮心を 見る(女兒)。
(現代語訳)
竹枝二首其二(男に対する女性の思いの深さを詠う。)
男と女は乱れてもつれた縄のように(おとこ)、恋人との絡み合いの深さを思うのです(おんな)。越羅の布地を一萬丈でも用意するけれど(おとこ)、女が着るのは上着のタケたったの一尋だけです(一人だけを愛して欲しいもの)(おんな)。
柳にも男と女があり、おとこの楊と女の柳がゆれるその身近にある関係を保ち(おとこ)、その思いは枝をたらしていることで通ずるものとなる(おんな)。 ハスの花弁を開いてくれても、やがて散り尽くしてしまうもの(おとこ)。それこそが蓮の実が見えてきたことであり、女のまごころなのです(おんな)。
(訳注)
竹枝二首其二
(男に対する女性の思いの深さを詠う。)
孫光憲(900~968)貴平(四川省仁寿の東北)出身。
【解説】 男に対する女性の思いの深さを詠う。第一句は、乱れ結ぶ縄が人を縛りつけて放さぬように、男に寄せる思いは私を捉えて放さぬことを言い、第二句は、万丈もの長さを産出する越の薄絹も衣服にすれば人目に映るのはたったの〓尋にすぎぬように、千万の思いも表に示せるのはわずかにすぎぬことを言う。第三句は、柳は話せないが自ら無数の糸を垂れるように、私の身自体が思いそのものであることを表現し、第四句は、蓮は花びらが落ち尽くして初めて花芯を現すように、私の男に寄せる真の心も恋い焦がれて惟降し果てた後に初めて明らかになることを詠む。第四句の「稿」は「偶」と同音「グウ」 で連れ合い・夫婦を意味し、「蓮心」も「憐心・恋心」と同音「レン
シソ」 であり、いずれも掛け詞になっている。
唐の教坊の曲名。但し『教坊記』ほ竹枝子の名で載せる。またの名を巴渝詞と言う。もと巴蜀(今の四川省)の民歌。唐の白居易、劉禹錫にも竹枝があり七言絶句の形をとる。『花間集』 には孫光憲の二首のみ所収。孫光憲の作は句中と句末にそれぞれ和声(雅子詞)四句四平韻で各句四宇目の後と句末に和声が入り、和声も八平韻で、4(②)③(②)4(②)③(②)4(②)③(②)4(②)③(②)の詞形をとる。( )は和声。
~(竹枝)の語句は男目線のもので、~(女兒)はは目線のもので、おとこは~だけれど、おんなは~です。
亂繩千結(竹枝)絆人深(女兒) 越羅萬丈(竹枝)表長尋(女兒)
楊柳在身(竹枝)垂意緒(女兒) 藕花落盡(竹枝)見蓮心(女兒)
●○○●●○△ ●○●●●△○
○●●○○●● ●○●●●△○
亂繩千結(竹枝)絆人深(女兒),越羅萬丈(竹枝)表長尋(女兒)。
男と女は乱れてもつれた縄のように(おとこ)、恋人との絡み合いの深さを思うのです(おんな)。越羅の布地を一萬丈でも用意するけれど(おとこ)、女が着るのは上着のタケたったの一尋だけです(一人だけを愛して欲しいもの)(おんな)。
11 亂繩:乱れもつれた縄。ここでは、恋人との感情の絡み合い。
12 千結:複雑に絡み合って。極めて多くむすぼれて。
13 絆人:人と人を結びつけるきづなは。
14 絆:きづな。ここは、動詞の用法。
15 深:ふかい。濃い。
16 越羅:越の国の特産の羅(うすぎぬ)。
17 越:紹興一帯。
18 萬丈:極めて長いこと。
19 表:表面の意味は、「上着」。隠された意味は、動詞として使われ、「あらわす」の意。
20 長:(着物の)たけ。裏の意味は、「永遠に。長久に。」
21 尋:表面の意味は、「一尋」(一尋(ひろ))で、八(七)尺のこと。
楊柳在身(竹枝)垂意緒(女兒),藕花落盡(竹枝)見蓮心(女兒)。
柳にも男と女があり、おとこの楊と女の柳がゆれるその身近にある関係を保ち(おとこ)、その思いは枝をたらしていることで通ずるものとなる(おんな)。 ハスの花弁を開いてくれても、やがて散り尽くしてしまうもの(おとこ)。それこそが蓮の実が見えてきたことであり、女のまごころなのです(おんな)。
22 楊柳在身:柳にも男と女がり、おとこの楊と女の柳がゆれるその身近にあり。
23 垂:(柳の枝が)たれる。
24 意緒:(白話):思い。心。
竹枝二首 【字解】
1 門前春水 家の前の春の増水した川の流れ。
2 白蘋 夏から秋にかけて白い花をつける浮草。
歐陽舍人炯『南鄉子八首 其八』
翡翠鵁鶄,白蘋香裏小沙汀。
島上陰陰秋雨色,蘆花撲,數隻漁舡何處宿。
翡翠のごとく、鵁鶄【こうせい】のごとく,白蘋【はくひん】の香の裏【うち】に小さき沙汀す。
島上 陰陰として秋雨の色になり,蘆花 撲し,數隻 漁の舡何處に宿せんか。
3 岸上 岸のほとりに。岸の土手には
4 小艇斜 斜めの方に向かって進む。軽快な小舟が岸から次第に離れていく。
5 商女 妓女。秋女、秋娘,秋女、秋娘といい、唐時代の歌妓的妓女の呼稱である。 杜牧の代表詩 七言絶句「煙籠寒水月籠沙、夜泊秦淮近酒家。商女不知亡國恨、隔江猶唱後庭花。」妓女が「玉樹後庭花」という歌を謡うのを聞いて本当の意味は分かっていないのだろうと詠う。
6 經過 通り過ぎる。
7 江欲暮 川が暮れようとしている。
8 散抛 まき散らす。すてる。
9 殘食 食べ残し。残飯。
10 飼 餌をやる。
11 神鴉 カラス。巴(四川東部)には、カラスが甚だ多く、現地人は「神鴉」とあがめて、射ようとしなかったと伝えられている。「岳陽風土記」に「巴陵鴉甚多,土人謂之神鴉,無敢弋者。」とある。
竹枝詞と呼ばれ、巴渝の地方色豊かな民歌の位置を得た。下って唱われなくなり、詩文となって、他地方へ広がりをみせても、同じ形式、似た題材のものは、やはりそう呼ばれるようになった。
男と女は乱れてもつれた縄のように(おとこ)、恋人との絡み合いの深さを思うのです(おんな)。越羅の布地を一萬丈でも用意するけれど(おとこ)、女が着るのは上着のタケたったの一尋だけです(一人だけを愛して欲しいもの)(おんな)。