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巻7・巻8 孫光憲

花間集 訳注解説 (393)回目《孫光憲巻七50河傳四首其四》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10285

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 393)回目《孫光憲巻七50河傳四首其四》

 

 

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花間集 訳注解説 (393)回目《孫光憲巻七50河傳四首其四》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10285

(少し前の春は、行楽、酒宴と、この離宮で華やかな日を過ごした、豪華な家にも、春も終るように寵愛は失われるとさびしいひびを過ごすよりない)

咲き誇った花は散り、夕靄が淡くひろがる、「謝秋娘」は豪邸の池のほとりの故事のような離宮の楼閣にすごす。

寂寞とした中に春も深まり、色艶雙絶の美女は心配事が少しあるのか眉をひそめ、思いを小声で一人語をつぶやく。

涙は襟を濡らすけれど、この心のうちを知る人はだれもいない。

奇麗な宝飾の香炉には火も消えて灰だけが、もう近頃ずっと焚かれたこともなく冷ややかなままで、簾を下ろしたままで日影を映し、紅い杏の花の咲くなか梁の上にはまた燕が帰って来る。

行楽も酒宴もなく、春も終わる夕刻になるというのに、空虚、うち萎れてしまう。

それからは独り寝るだけで、香木の枕に横になると雲型の髷は片側に傾いて、もう直すこともないのだ。

 

 

 

 

花間集 巻七 《河傳四首》

 

 

 

巻七47  河傳四首其一      

平天子,等閑遊戲,疏河千里。柳如絲,隈倚淥波春水,長淮風不起。

如花殿三千女,爭雲雨,何處留人住?錦帆風,煙際紅,燒空,魂迷大業中。

 

巻七48  河傳四首其二      

拖金縷,着煙籠霧,濛濛落絮。鳳皇舟上楚女,妙舞,雷喧波上皷。

龍爭虎戰分中土,人無主,桃葉江南渡。襞花牋,豔思牽。成篇,官娥相與傳。

 

巻七49  河傳四首其三      

花落,煙薄,謝家池閣。寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。

沾襟,無人知此心。玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

 

巻七50  河傳四首其四      

風颭,波斂。團荷閃閃,珠傾露點。木蘭舟上,何處娃越豔,藕花紅照臉。

大堤狂殺襄陽客,煙波隔,渺渺湖光白。身已歸,心不歸。斜暉,遠汀鸂鶒飛。

 

 興慶宮01

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲《巻七47       河傳四首其二》孫光憲

 

 

花間集 訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10271

 

 

 

 

 

 

 

河傳四首其一

(天子次第で太平がある、寵愛を施すのも、施政に愛撫の心で行うのも、大河が流れていくことと同じであり、行楽、舟遊びを夜を徹して行うのも、天子の年中行事なのである。)

太平,天子,等閑遊戲,疏河千里。

天下が太平であるのは、天子が、長閑に過ごし、厳かに遊び戯れ、そんなことは黄河が千里先まで流れて行くようなものだ。

柳如絲,隈倚淥波春水,長淮風不起。

柳は枝を糸のように垂らし、淵には春の雪解けで増水が緑の澄み切って流れているころには、長江や淮河の大河には大風が起こることはない。

如花殿三千女,爭雲雨,何處留人住?

この花の御殿には三千人の宮女が仕えている。「朝雲暮雨」の寵愛を得ようと妃賓のあらそいがある、寵愛は誰なのか、どの御殿なのか、天子はどこにとどまっているのか。

錦帆風,煙際紅,燒空,魂迷大業中。

春から夏には、錦の帆柱に帆に風を受けて、舟遊びが、花霞のただようその際には紅い花が咲き、花の宴は夜まで続き、かがり火は空を染めていて、天子の魂は迷ってしまって誰を寵愛するのか、そうした中で、天子は天下国家の安寧のために心を掛けられるのである。

 

(河傳四首 其の一)

太平の天子,等閑し遊戲す,疏河すは千里なり。

柳 絲の如し,隈倚 淥波の春水,長淮 風 起らず。

花の如き殿には三千の女がし,雲雨を爭い,何處にか人を留めて住わん?

錦帆の風,煙際の紅,燒空ありて,魂迷し 大業に中【あた】る。

 

 

河傳四首 其二

(春の盛りに江南の画舟の遊びで官妓の美女は歌も踊りもその上詩を作るのもうまい、戦国には美女で争い、六朝では川を挟んで呼び合った、詞箋を作ったのも官妓だった、これによって次の世にも伝えられてゆくことであろう。)

柳拖,金縷,着煙籠霧,濛濛落絮。

柳の枝が土手を引き摺り、その枝は金色の紐を垂らす、夕靄はこの街を囲むように出てきて霧がそれをつつむ様に出てくる、そこにもうもうと柳絮が落ちて飛び交う。

鳳皇舟上楚女,妙舞,雷喧波上皷。

鳳凰の絵が描かれた飾り画船は楚の国の美女を載せている、美女は華麗に舞う、それに合わせた様に波の上に音を立て、鼓の音は雷のように轟く。

龍爭虎戰分中土,人無主,桃葉江南渡。

この光景は戦国時代の故事を筝曲に言うように「龍が爭い、虎が闘って天下を分ける」ようこの美女をわが手にしようとあらそう、しかしここには美女の主となる者はいない。それは王獻之の愛妾「桃葉」の詩のようにここ江南では、「桃葉よ桃葉、兎に角渡って来い」と美女にとに角この川を渡って来てくれればいいと言っている。

襞花牋,豔思牽。

ひだひだのスカートをゆらせて薛濤䇳にしたためて、魅力のある気持ちで引き付ける。

成篇,官娥相與傳。

その光景を目にすれば詩篇はできるものだし、この美女たちは官妓であり、世の人は共にこの詩を伝えてきたし、これからも伝えられていくだろう。

(河傳四首其の二)

柳の拖,金の縷,煙 籠霧に着き,濛濛として絮を落す。

鳳皇 舟上の楚女,舞をに妙して,雷喧 波上の皷。

龍爭 虎戰 中土を分ち,人 主無し,桃葉 江南渡る。

襞花の牋,豔思 牽く。

篇成し,官娥 相いに與傳す。

 

河傳四首 其三

(少し前の春は、行楽、酒宴と、この離宮で華やかな日を過ごした、豪華な家にも、春も終るように寵愛は失われるとさびしいひびを過ごすよりない)

花落,煙薄,謝家池閣。

咲き誇った花は散り、夕靄が淡くひろがる、「謝秋娘」は豪邸の池のほとりの故事のような離宮の楼閣にすごす。

寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。

寂寞とした中に春も深まり、色艶雙絶の美女は心配事が少しあるのか眉をひそめ、思いを小声で一人語をつぶやく。

沾襟,無人知此心。

涙は襟を濡らすけれど、この心のうちを知る人はだれもいない。

玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

奇麗な宝飾の香炉には火も消えて灰だけが、もう近頃ずっと焚かれたこともなく冷ややかなままで、簾を下ろしたままで日影を映し、紅い杏の花の咲くなか梁の上にはまた燕が帰って来る。

晚來天,空悄然。

行楽も酒宴もなく、春も終わる夕刻になるというのに、空虚、うち萎れてしまう。

孤眠,枕檀雲髻偏。

それからは独り寝るだけで、香木の枕に横になると雲型の髷は片側に傾いて、もう直すこともないのだ。

(河傳四首其の三)

花落ち,煙薄れ,謝家の池閣。

寂寞として春深し,翠蛾 輕く斂め 意 沉吟す。

襟を沾し,人 此の心を知る無し。

玉鑪 香 斷え 霜灰 冷ややかにして,簾 影を鋪く,梁鷰 紅杏に歸る。

晚來の天には,空しく悄然とす。

孤り眠り,枕檀 雲髻 偏る。

 

河傳四首 其四

風颭,波斂。

團荷閃閃,珠傾露點。

木蘭舟上,何處娃越豔,藕花紅照臉。

大堤狂殺襄陽客,煙波隔,渺渺湖光白。

身已歸,心不歸。

斜暉,遠汀鸂鶒飛。

 

 大明宮 5001

 

『河傳四首 其三』 現代語訳と訳註

(本文)

河傳四首 其三

花落,煙薄,謝家池閣。

寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。

沾襟,無人知此心。

玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

晚來天,空悄然。

孤眠,枕檀雲髻偏。

 

(下し文)

(其の三)

花落ち,煙薄れ,謝家の池閣。

寂寞として春深し,翠蛾 輕く斂め 意 沉吟す。

襟を沾し,人 此の心を知る無し。

玉鑪 香 斷え 霜灰 冷ややかにして,簾 影を鋪く,梁鷰 紅杏に歸る。

晚來の天には,空しく悄然とす。

孤り眠り,枕檀 雲髻 偏る。

 

 

(現代語訳)

(少し前の春は、行楽、酒宴と、この離宮で華やかな日を過ごした、豪華な家にも、春も終るように寵愛は失われるとさびしいひびを過ごすよりない)

咲き誇った花は散り、夕靄が淡くひろがる、「謝秋娘」は豪邸の池のほとりの故事のような離宮の楼閣にすごす。

寂寞とした中に春も深まり、色艶雙絶の美女は心配事が少しあるのか眉をひそめ、思いを小声で一人語をつぶやく。

涙は襟を濡らすけれど、この心のうちを知る人はだれもいない。

奇麗な宝飾の香炉には火も消えて灰だけが、もう近頃ずっと焚かれたこともなく冷ややかなままで、簾を下ろしたままで日影を映し、紅い杏の花の咲くなか梁の上にはまた燕が帰って来る。

行楽も酒宴もなく、春も終わる夕刻になるというのに、空虚、うち萎れてしまう。

それからは独り寝るだけで、香木の枕に横になると雲型の髷は片側に傾いて、もう直すこともないのだ。

 

王都の基準線02(訳注)

河傳四首其三

1.(少し前の春は、行楽、酒宴と、この離宮で華やかな日を過ごした、豪華な家にも、春も終るように寵愛は失われるとさびしいひびを過ごすよりない)

2.【解説】 晩春の孤閏の寂しさはあるものの、その地位にある名誉、矜持を持てる生活には変わりない。後段の冷たい灰となった香は、女主人公の心そのものであり、梁の巣に帰って来た燕は番で女主人公の孤独感を一層際立たせる働きをしている。それにも負けない女の強さが背景にあることを感じる詩である。

 

3.『花間集』 には孫光憲の作が四首収められている。河傳四首 其一は双調五十一字、前段二十六字七句二平韻五仄韻、後段二十六字六句四平韻五仄韻で、②❷❹❻❺③③②⑤の詞形をとる。

河傳四首 其一

,天,等閑遊,疏河千

柳如,隈倚淥波春,長淮風不

 “ / ”

如花殿三千,爭雲,何處留人

錦帆,煙際,燒,魂迷大業

●○  ○● ●○○△  △○○●

●△○  △△●○○● △○△△●

△○●●△○● ○○●  △●△○●

●△△  ○●○ △△  ○○●●△

河傳四首其二。双調五十一字、前段二十六字六句五仄韻、後段二十六字六句五仄韻で、❷❷❹❼❷③③②⑤の詞形をとる。

,金,着煙籠,濛濛落

鳳皇舟上楚,妙,雷喧波上

 “ / ”  

龍爭虎戰分中,人無,桃葉江南

襞花,豔思。成,官娥相與

●△  ○● ?○△△  △△●●

●○○●●●  ●● ○○○●●

○○●●△△● ○○●  ○●○○●

●○○  ●△△ ○○  ○○△△△

河傳四首 其三。双調五十一字、前段三十三字八句二平韻五仄韻、後段二十八字七句四平韻三仄韻で、❷❷❹❼②⑤/❼❸③③②⑤の詞形をとる。

河傳四首 其三

,煙,謝家池

寂寞春,翠蛾輕斂意沉

,無人知此

 “ / ”  

玉鑪香斷霜灰,簾鋪,梁鷰歸紅

晚來,空悄

,枕檀雲髻

○●  ○● ●○○●

●●○△ ●△△●●○△

△○ ○○○●○

●○○●○○△ ○△●  ○●○○●

●△○  △●○

○○  △○○●△

 

花落,煙薄,謝家池閣。

4.    咲き誇った花は散り、夕靄が淡くひろがる、「謝秋娘」は豪邸の池のほとりの故事のような離宮の楼閣にすごす。

5.    謝家 美女や妓女、あるいは愛妾の棲む家。唐の李徳祐が豪邸を築いて謝秋娘を池のほとりの楼閣に住まわせたことによる。比喩する相手が特定される場合は、晋の謝安であったり、謝靈運、謝朓を示す場合もある。ここでは離宮に配属された妃嬪と考えられる。

 

寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。

寂寞とした中に春も深まり、色艶雙絶の美女は心配事が少しあるのか眉をひそめ、思いを小声で一人語をつぶやく。

6.  翠蛾 ここでは翠蛾に同じ。女性の美しい眉を言う。顧夐「酔公子二首其二」○斂袖翠蛾攢 泣きぬれた袖をたくし上げて、やっと化粧をやり直すことをいう。あきらめの境地をいう。

『醉公子二首』其二「岸柳垂金線,雨晴鶯百囀。家在綠楊邊,往來多少年。馬嘶芳草遠,高樓簾半捲。斂袖翠蛾攢,相逢爾許難。」13-338《醉公子二首 其一》顧太尉(顧夐【こけい】)五十五首Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-521-13-(338) 花間集 巻第七漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4152

7.   輕斂 こじわ。

8.  意沉吟 沉吟:1ためらい独り言を言う,低い声でつぶやく.2低い声で吟じる.

 

沾襟,無人知此心。

涙は襟を濡らすけれど、この心のうちを知る人はだれもいない。

 

玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。

奇麗な宝飾の香炉には火も消えて灰だけが、もう近頃ずっと焚かれたこともなく冷ややかなままで、簾を下ろしたままで日影を映し、紅い杏の花の咲くなか梁の上にはまた燕が帰って来る。

9.  玉鑪 奇麗な宝飾の香炉、暖房器具の役割もあったから、訪れる人がいないことを言う。

10.   梁燕帰紅杏 燕は梁の巣に紅い杏の花咲く時節に帰って来た。杏は、晩春を意味する。

 

晚來天,空悄然。

行楽も酒宴もなく、春も終わる夕刻になるというのに、空虚、うち萎れてしまう。

11.  晩来天 宵闇迫る時分。

12.   空悄然 空しさのあまりに悄然とする。悄然:元気がなく、うちしおれているさま。しょんぼり。ひっそりと静かなさま。

 

孤眠,枕檀雲髻偏。

それからは独り寝るだけで、香木の枕に横になると雲型の髷は片側に傾いて、もう直すこともないのだ。

13.    枕檀 香木で作った枕。

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