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花間集 巻六・七 顧敻 五十五首 

花間集 訳注解説 (375)回目顧敻巻七34臨江仙三首其三》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10117

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花間集 訳注解説 (375)回目顧巻七34臨江仙三首其三》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10117

(月が丸くなったころに帰って来るという約束を破られた妃嬪は、いつかは、寵愛を失うものと覚悟をしていたものの寂しさに打ち勝たねばならないと詠う)

秋の夜に月が傾いてゆくと簾を穿って月かげが入って來て、風は竹林をぬけてくる、二つの眉に愁いの思いに潜めるこの時、屏風を使うこともなく壁に立てかけていている。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

刺繍の入った襦袢を着るものの、雲型やみみつらの髪型を整えなくなる、それは、何度も何度も辛い悲しい思いをしているからか、それでも、妃嬪の人生、思い続けていくことが生きていくことと云うことなのである。

 

 

 

花間集 巻七 

 

 

 

巻七31 漁歌子

       曉風清,幽沼綠,倚欄凝望珍禽浴。

       畫簾垂,翠屏曲,滿袖荷香馥郁。

       好攄懷,堪寓目,身閑心靜平生足。

       酒盃深,光影促,名利無心較逐。

 

巻七32 臨江仙三首其一

       碧染長空池似鏡,倚樓閑望凝情,滿衣紅藕細香清。

       象床珍簟,山障掩,玉琴橫。

       暗想昔時懽笑事,如今贏得愁生。

       博山鑪暖澹煙輕。

       蟬吟人靜,殘日傍,小明。

 

巻七33 臨江仙三首其二

       幽閨小檻春光晚,柳濃花淡鶯稀。

       舊歡思想尚依依,翠嚬紅斂,終日損芳菲。

       何事狂夫音信斷,不如梁鷰猶歸。

       畫意深處麝煙微,屏虛枕冷,風細雨霏霏。

巻七34 臨江仙三首其三

       月色穿簾風入竹,倚屏雙黛愁時。

       砌花含露兩三枝,如啼恨臉,魂斷損容儀。

       香燼暗銷金鴨冷,可堪辜負前期。

       繡襦不整鬢鬟欹,幾多惆悵,情緒在天涯。

      

巻七35 醉公子二首其一

       漠漠秋雲澹,紅耦香侵檻。

       枕倚小山屏,金鋪向晚扃。

       睡起橫波慢,獨望情何限。

       衰柳數聲蟬,魂銷似去年。

巻七36 醉公子二首其二

       岸柳垂金線,雨晴鶯百囀。

       家在綠楊邊,往來多少年。

       馬嘶芳草遠,高樓簾半捲。

       斂袖翠蛾攢,相逢爾許難。

巻七37 更漏子

       舊歡,新悵望,擁鼻含嚬樓上。

       濃柳翠,晚霞微,江鷗接翼飛。

       簾半捲,屏斜掩,遠岫參差迷眼。

       歌滿耳,酒盈罇,前非不要論。

 

 

 

顧敻 《臨江仙三首其二》

 

 

訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ10110

 

 

 

 

臨江仙三首 其一

(年を重ねてきて離宮に移された妃嬪が、昔を懐かしみ、今を悲しむ日をすごす詞。)

碧染長空池似鏡,倚樓閑望凝情,滿衣紅藕細香清。

池端の緑が深くなり、遠くの空と一体になって、池は鏡のように静かに広がる、宮殿の手摺に寄り静かに眺めて、思いを凝らせば、衣に赤い蓮の花の清々しく細やかな香りが満ちあふれる。

象床珍簟,山障掩,玉琴橫。

象牙飾りのある寝牀に立派な模様の涼しき竹延シーツを敷き、背後には山の画の屏風でおおった、玉の琴をじゅんびして横においている。  

暗想昔時懽笑事,如今贏得愁生。

密かに慕い、思いだすのは昔二人で楽しく笑って過ごしたことばかり、今は毎日愁いばかり思い続ける、良いことがあっても愁いの方が勝ってしまう。

博山鑪暖澹煙輕。

神仙三山がかたちづくられた博山鑪にお香焚くとあの頃と同じように煙は軽く広がる。

蟬吟人靜,殘日傍,小明。

蝉が鳴くほど誰もいなくて静寂が広がり、夕日が部屋の奥まで照らしている、高小窓にも夕陽があたって明るい。

(臨江仙三首其の一)

碧 長空を染め 池は鏡に似たり,樓に倚り 閑かに望み 情を凝らし,衣に滿ち 紅藕【こうぐう】 細香 清がし。

象床 珍簟【ちんてん】あり,山障 掩いて,玉琴 橫たわる。

暗に想う 昔時は 懽笑【かんしょう】の事を,如今【じょこん】は 愁生ずるを贏得【えいとく】するを。

博山 鑪暖く 澹煙【たんえん】輕く。

蟬は吟じ 人は靜かなり,殘日 傍いて,小 明るし。

 

臨江仙三首 其二

(昔を懐かしみ、今を悲しむ。調楽しかったころを思い出しては涙する)

幽閨小檻春光晚,柳濃花淡鶯稀。

誰も居なくてひっそりした閨、そこに続く欄干に春の日は暮れかかっている、柳の枝には葉が色濃くなり、春の盛りに満開となっていた花も淡いものに変わっていく、鶯の啼き声も聞かれなくなっている。

舊歡思想尚依依,翠嚬紅斂,終日損芳菲。

むかしあれほどたのしかったことをおもいだしてはさびしくなるし、翡翠の飾りをつけても苦々しげに口をゆがめ、ほほ紅で化粧しても顔は歪める日がつづく、一日中草花のよいにおいが一杯であっても何の意味もない。

何事狂夫音信斷,不如梁鷰猶歸。

何事に対しても一心不乱に向かうお方であること、音信すらなくなった。この宮殿に帰って来ることはないのか、それでもなお梁の上の燕は新しい春の日には帰って来るというのに。

畫意深處麝煙微,屏虛枕冷,風細雨霏霏。

思いのたけを書き連ねても部屋には麝香を微かに焚いても、一緒に過ごす時の屏風を使うことなく空しく立てかけているし、使うはずの枕は冷め切ったままで、風は吹きぬけ、雨は降り続き、涙は流れるままに続いている。

(臨江仙三首 其の二)

幽閨 小檻 春光の晚,柳濃 花淡 鶯稀れなり。

舊歡 思想 尚お依依たり,翠嚬 紅斂,終日 芳菲を損う。

何事ぞ 狂夫 音信斷ちたるは,梁鷰 猶の歸る不如たるは。

畫意 深處 麝煙 微にし,屏虛 枕冷,風 細雨霏霏たり。

 

 

臨江仙三首 其三

(月が丸くなったころに帰って来るという約束を破られた妃嬪は、いつかは、寵愛を失うものと覚悟をしていたものの寂しさに打ち勝たねばならないと詠う)

月色穿簾風入竹,倚屏雙黛愁時。

秋の夜に月が傾いてゆくと簾を穿って月かげが入って來て、風は竹林をぬけてくる、二つの眉に愁いの思いに潜めるこの時、屏風を使うこともなく壁に立てかけていている。

砌花含露兩三枝,如啼恨臉,魂斷損容儀。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

香燼暗銷金鴨冷,可堪辜負前期。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

繡襦不整鬢鬟欹,幾多惆悵,情緒在天涯。

刺繍の入った襦袢を着るものの、雲型やみみつらの髪型を整えなくなる、それは、何度も何度も辛い悲しい思いをしているからか、それでも、妃嬪の人生、思い続けていくことが生きていくことと云うことなのである。

(其の三)

月色 簾を穿ち 風 竹に入る,屏を倚り 雙つの黛 時に愁う。

砌の花 兩つ三つの枝に露を含み,如啼 臉に恨み,魂斷ちて 容儀を損う。

香燼 暗く銷し 金鴨冷かなり,前期を辜負するを堪える可し。

繡襦 鬢鬟の欹 整わず,幾多 惆悵たり,情緒 天涯に在る。

 

 

『臨江仙三首 其三』 現代語訳と訳註

(本文)

臨江仙三首 其三

月色穿簾風入竹,倚屏雙黛愁時。

砌花含露兩三枝,如啼恨臉,魂斷損容儀。

香燼暗銷金鴨冷,可堪辜負前期。

繡襦不整鬢鬟欹,幾多惆悵,情緒在天涯。

 

(下し文)

(臨江仙三首 其の三)

月色 簾を穿ち 風 竹に入る,屏を倚り 雙つの黛 時に愁う。

砌の花 兩つ三つの枝に露を含み,如啼 臉に恨み,魂斷ちて 容儀を損う。

香燼 暗く銷し 金鴨冷かなり,前期を辜負するを堪える可し。

繡襦 鬢鬟の欹 整わず,幾多 惆悵たり,情緒 天涯に在る。

 

(現代語訳)

(月が丸くなったころに帰って来るという約束を破られた妃嬪は、いつかは、寵愛を失うものと覚悟をしていたものの寂しさに打ち勝たねばならないと詠う)

秋の夜に月が傾いてゆくと簾を穿って月かげが入って來て、風は竹林をぬけてくる、二つの眉に愁いの思いに潜めるこの時、屏風を使うこともなく壁に立てかけていている。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

刺繍の入った襦袢を着るものの、雲型やみみつらの髪型を整えなくなる、それは、何度も何度も辛い悲しい思いをしているからか、それでも、妃嬪の人生、思い続けていくことが生きていくことと云うことなのである。

 

(訳注)

臨江仙三首 其三

1. (月が丸くなったころに帰って来るという約束を破られた妃嬪は、いつかは、寵愛を失うものと覚悟をしていたものの寂しさに打ち勝たねばならないと詠う)

 

2. 唐の教坊の曲名。『花間集』には、二十六首所収。顧夐の作は三首収められている。双調六十字、前後段三十字六句三平韻二仄韻で、7⑥⑦❹❸③/7⑥⑦❹❸③の詞形をとる。

臨江仙三首 其一

碧染長空池似鏡,倚樓閑望凝,滿衣紅藕細香

象床珍,山障,玉琴

暗想昔時懽笑事,如今贏得愁

博山鑪暖澹煙

蟬吟人,殘日,小

●●△△○●●  △○○△△○ ●△○●●○○

●○○● ○△●  ●○△

●●●○△●●  △○○●○△

●○○●△○△

○△○● ○●△  ●?○

臨江仙三首 其二は、双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻二仄韻で、❼⑥⑦❹⑤/❼⑥⑦❹⑤の詞形をとる。

臨江仙三首 其二

幽閨小檻春光,柳濃花淡鶯

舊歡思想尚依,翠嚬紅,終日損芳

何事狂夫音信,不如梁鷰猶

畫意深處麝煙,屏虛枕,風細雨霏

○○●●○△●  ●○○△○○

●○△●△△△  ●○○● ○●●○△

△●△○○△● △△○●△○

●●△●●○○ △○△△  △●●○○

双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる。

臨江仙三首 其三

月色穿簾風入竹,倚屏雙黛愁

砌花含露兩三,如啼恨臉,魂斷損容

香燼暗銷金鴨冷,可堪辜負前

繡襦不整鬢鬟,幾多惆悵,情緒在天

●●△○△●●  △△○●○○

●○○●●△○  △○●△ ○●●○○

○●●○○●△ ●○○●○○

●○△●●○○ △○○●  ○●●○○

 

月色穿簾風入竹,倚屏雙黛愁時。

秋の夜に月が傾いてゆくと簾を穿って月かげが入って來て、風は竹林をぬけてくる、二つの眉に愁いの思いに潜めるこの時、屏風を使うこともなく壁に立てかけていている。

3. ・月色穿簾 月が穿簾を突き抜け部屋に入って來ることは、真上にあがっていては入らない、つまり、西に傾くまで寝ずに待っていたことをいう。また、月が明るいことを意味する。すなわち、十日すぎから二十日月の間に来ると約束したと思われる。風が竹林を抜けると音を立てるのは、一人の寂莫とした模様を強調させる、待っている妃嬪の様子をあらわしている。

 

砌花含露兩三枝,如啼恨臉,魂斷損容儀。

閨に続くきざはしの奥の砌には、枝につけた咲く花の二つ三つとあり、夜露にしっとりと濡れている。恨みに満ちた顔は泣き崩れている。ちょうあいをうしなえば、思う心は断絶し、夜伽の準備、身繕いをすることもしたくない。

4. ・砌花の句 この妃嬪はいつもの約束の日ももう何度も一人で過ごすようになった、寵愛を失えばもう元のお碗に水は戻ってこない、階の向うの花には(他の妃賓をいう場合が多い。)他の妃賓は、寵愛を受けて楽しんでいるという意味である。

 

香燼暗銷金鴨冷,可堪辜負前期。

あのお方を迎えするための香炉には香を焚くことも、閨を温めておくこともなく香炉の上の鴨の飾りも冷え切ったままで、前時の約束の日に来ないという心が踏みにじられたことにも堪えるしかない。

5. ・辜負 「辜」「負」はともにそむく意で強い意志をもってそむくこと。

 

繡襦不整鬢鬟欹,幾多惆悵,情緒在天涯。

刺繍の入った襦袢を着るものの、雲型やみみつらの髪型を整えなくなる、それは、何度も何度も辛い悲しい思いをしているからか、それでも、妃嬪の人生、思い続けていくことが生きていくことと云うことなのである。

6. ・鬢鬟 びんとみみつら。耳の傍に垂らす髪型。

7. ・欹 そばだてる。

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