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花間集 巻六・七 顧敻 五十五首 

花間集 訳注解説 (315)回目顧敻 巻六34 《虞美人六首其一 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9653

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315)回目顧 巻六34 《虞美人六首其一 》

 

 

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花間集 訳注解説 (315)回目顧 巻六34 《虞美人六首其一 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9653 (12/08)

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花間集 訳注解説 (315)回目顧 巻六34 《虞美人六首其一 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9653

(早春の日には寵愛を受けていたが、すぐに逢えなくても我慢してきた、約束の日にも訪ねてくれず、春の傷心が、つづくことを詠う。)

春を告げに鶯が啼き、この夜を過ごし夢の続きを破られてしまう。起き上がり、寝床を離れて金泥の鳳模様の簾を巻き上げて鳴き声の方をみる。

今日も寝化粧のままですごし、酒は初めから酔いはしないのでまた飲む、翡翠の簪を物憂げになおして、鏡を見てから、雲母の屏風に寄り添ってみると、いよいよ艶めかしさが増している。 

香しき薄紅色の白粉を眉尻から頬にかけてすかしを入れて、桃の花のように優しい顔に化粧をなおすが、涙がにじむので薄絹の袂でそっとなんども拭う。

逢瀬の約束の日がきて、再びたずねることが出来ないのも、恨めしき気持ちのまま堪えなければいけないが、奥の院の庭一面に草花はいっぱいに咲き乱れているが、もう柳の葉が茂って暗く影を為す季節になっていて、いまも、春心の傷跡を負ったまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 巻六 顧  十八首

 

 

     巻七 顧 三十七首

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集第六巻 顧太尉十八首

花間集第七巻 顧太尉三十七首  合計五十五首

 

1

巻六34

虞美人六首其一 

曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

2

巻六35

虞美人六首其二 

觸簾風送景陽鐘,鴛被繡花重。曉幃初卷冷煙濃,翠勻粉黛好儀容,思嬌慵。起來無語理朝粧,寶匣鏡凝光。綠荷相倚滿池塘,露清枕簟藕花香,恨悠揚。

3

巻六36

虞美人六首其三 

翠屏閑掩垂珠箔,絲雨籠池閣。露粘紅藕咽清香,謝娘嬌極不成狂,罷朝粧。小金鸂鶒沉煙細,膩枕堆雲髻。淺眉微斂炷檀輕,舊懽時有夢魂驚,悔多情。

4

巻六37

虞美人六首其四 

碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。顛狂少年輕離別,辜負春時節。畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

5

巻六38

虞美人六首其五 

深閨春色勞思想,恨共春蕪長。黃鸝嬌囀泥芳妍,杏枝如畫倚輕煙,鏁前。凭欄愁立雙蛾細,柳影斜搖砌。玉郎還是不還家,教人魂夢逐楊花,繞天涯。

6

巻六39

虞美人六首其六 

少年豔質勝瓊英,早晚別三清。蓮冠穩篸鈿篦橫,飄飄羅袖碧雲輕,畫難成。遲遲少轉腰身裊,翠靨眉心小。醮壇風急杏花香。此時恨不駕鸞皇,訪劉郎。

7

巻六40

河傳 三首其一 

鷰颺,晴景。小屏暖,鴛鴦交頸。菱花掩卻翠鬟欹,慵整。海棠簾外影。繡幃香斷金鸂鶒,無消息,心事空相憶。東風,春正濃。愁紅,淚痕衣上重。

8

巻六41

河傳 三首其二 

曲檻,春晚。碧流紋細,綠楊絲軟,露花,鮮杏,枝繁鶯囀,野蕪似剪。直是人間到天上,堪遊賞,醉眼疑屏障,對池塘,惜韶光,斷腸為花須盡狂。

9

巻六42

河傳 三首其三 

棹舉,舟去,波光渺渺,不知何處,岸花汀草共依依,雨微,鷓鴣相逐飛。天涯離恨江聲咽,啼猿切,此意向誰。倚蘭橈,無憀。魂消,小爐香欲焦。

10

巻六43

甘州子五首其一 

一爐龍麝錦帷旁,屏掩映,燭熒煌。禁樓刁斗喜初長,羅薦繡鴛鴦。山枕上,私語口脂香。

11

巻六44

甘州子五首其二 

每逢清夜與良晨,多悵望,足傷神。雲迷水隔意中人,寂寞繡羅茵。山枕上,幾點淚痕新。

12

巻六45

甘州子五首其三 

曾如劉阮訪仙蹤,深洞客,此時逢。綺筵散後繡衾同,款曲見韶容。山枕上,長是怯晨鐘。

13

巻六46

甘州子五首其四 

露桃花裏小樓深,持玉盞,聽瑤琴。醉歸青瑣入鴛衾,月色照衣襟。山枕上,翠鈿鎮眉心。

14

巻六47

甘州子五首其五 

紅鑪深夜醉調笙,敲拍處,玉纖輕。小屏古畫岸低平,煙月滿閑庭。山枕上,燈背臉波橫。

15

巻六48

玉樓春四首其一 

月照玉樓春漏促,颯颯風搖庭砌竹。夢驚鴛被覺來時,何處管絃聲斷續。惆悵少年游冶去,枕上兩蛾攢細綠。曉鶯簾外語花枝,背帳猶殘紅燭。

16

巻六49

玉樓春四首其二 

柳映玉樓春日晚,雨細風輕煙草軟。畫堂鸚鵡語雕籠,金粉小屏猶半掩。香滅繡幃人寂寂,倚檻無言愁思遠。恨郎何處縱疎狂,長使含啼眉不展。

17

巻六50

玉樓春四首其三 

月皎露華影細,風送菊香粘繡袂。博山爐冷水沉微,惆悵金閨終日閉。懶展羅衾垂玉淚,羞對菱花篸寶髻。良宵好事枉教休,無計那他狂耍壻。

18

巻六51

玉樓春四首其四 

拂水雙飛來去鷰,曲檻小屏山六扇。春愁凝思結眉心,綠綺懶調紅錦薦。話別情多聲欲戰,玉筋痕留紅粉面。鎮長獨立到黃昏,卻怕良宵頻夢見。

 

顧夏(生卒年末詳)、字、出身地ともに未詳。後いら蜀の詞人。初め前蜀の王建に仕えて刺史となり、ついで後蜀の孟知禅に仕えて大尉にまでなった。通正元年(916)、宮廷の摩訶池に黒鶴が飛来したので、詩を作り、禍があると注意を促したと言う。後に孟知禅が後蜀を建国するとこれに仕え大尉まで昇進した。酔公子詞はとくにその当時称賛されたといぅ。況葦の詞凪をうけた花間派の艶美な特色をそなえた詞人として重きをなしていた詞人である。酔公子、訴衷情、荷葉盃等は、特に人々に広く歌い伝えられた。作風は温庭箔に近い。『花間集』には五十五首の詞が収められている。

十国春秋巻五六 歴代詩余巻一〇一詞人姓氏 全唐詩巻三二

顧大尉詞一巻 王国維韓、唐五代二十一家詞輯所収

,生卒年不詳。五代十國後蜀詞人。累官至太尉。

姮娥 0021  

 

 

花間集 教坊曲《《虞美人六首其一 》顧 

 

 

花間集 訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9660

 

 

 

虞美人六首 其一

(早春の日には寵愛を受けていたが、すぐに逢えなくても我慢してきた、約束の日にも訪ねてくれず、春の傷心が、つづくことを詠う。)

曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。

春を告げに鶯が啼き、この夜を過ごし夢の続きを破られてしまう。起き上がり、寝床を離れて金泥の鳳模様の簾を巻き上げて鳴き声の方をみる。

宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。

今日も寝化粧のままですごし、酒は初めから酔いはしないのでまた飲む、翡翠の簪を物憂げになおして、鏡を見てから、雲母の屏風に寄り添ってみると、いよいよ艶めかしさが増している。 

香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。

香しき薄紅色の白粉を眉尻から頬にかけてすかしを入れて、桃の花のように優しい顔に化粧をなおすが、涙がにじむので薄絹の袂でそっとなんども拭う。

佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

逢瀬の約束の日がきて、再びたずねることが出来ないのも、恨めしき気持ちのまま堪えなければいけないが、奥の院の庭一面に草花はいっぱいに咲き乱れているが、もう柳の葉が茂って暗く影を為す季節になっていて、いまも、春心の傷跡を負ったまま。

 

其二

觸簾風送景陽鐘,鴛被繡花重。

曉幃初卷冷煙濃,翠勻粉黛好儀容,思嬌慵。

起來無語理朝粧,寶匣鏡凝光。

綠荷相倚滿池塘,露清枕簟藕花香,恨悠揚。

 

其三

翠屏閑掩垂珠箔,絲雨籠池閣。

露粘紅藕咽清香,謝娘嬌極不成狂,罷朝粧。

小金鸂鶒沉煙細,膩枕堆雲髻。

淺眉微斂炷檀輕,舊懽時有夢魂驚,悔多情。

 

其四

碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。

小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。

顛狂少年輕離別,辜負春時節。

畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

 

其五

深閨春色勞思想,恨共春蕪長。

黃鸝嬌囀泥芳妍,杏枝如畫倚輕煙,鏁前。

凭欄愁立雙蛾細,柳影斜搖砌。

玉郎還是不還家,教人魂夢逐楊花,繞天涯。

 

其六

少年豔質勝瓊英,早晚別三清。

蓮冠穩篸鈿篦橫,飄飄羅袖碧雲輕,畫難成。

遲遲少轉腰身裊,翠靨眉心小。

醮壇風急杏花香。

此時恨不駕鸞皇,訪劉郎。

 

 

『虞美人六首』 現代語訳と訳註

(本文)

虞美人六首 其一

曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。

宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。

香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。

佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

 

(下し文)

(虞美人六首其の一)

曉の鶯 啼き破りて相いに夢を思い,簾 金泥の鳳を看る。

宿粧 猶お酒 初めの醒る在り,翠翹 慵じて雲屏にる倚を整え,轉た娉婷たり。

香檀 細かに畫き 桃臉を侵し,羅袂 輕輕として斂む。

佳期 恨むに堪え 再び尋ね難き,綠蕪 院に滿ち 柳 陰を成し,春心に負く。

 

(現代語訳)

(早春の日には寵愛を受けていたが、すぐに逢えなくても我慢してきた、約束の日にも訪ねてくれず、春の傷心が、つづくことを詠う。)

春を告げに鶯が啼き、この夜を過ごし夢の続きを破られてしまう。起き上がり、寝床を離れて金泥の鳳模様の簾を巻き上げて鳴き声の方をみる。

今日も寝化粧のままですごし、酒は初めから酔いはしないのでまた飲む、翡翠の簪を物憂げになおして、鏡を見てから、雲母の屏風に寄り添ってみると、いよいよ艶めかしさが増している。 

香しき薄紅色の白粉を眉尻から頬にかけてすかしを入れて、桃の花のように優しい顔に化粧をなおすが、涙がにじむので薄絹の袂でそっとなんども拭う。

逢瀬の約束の日がきて、再びたずねることが出来ないのも、恨めしき気持ちのまま堪えなければいけないが、奥の院の庭一面に草花はいっぱいに咲き乱れているが、もう柳の葉が茂って暗く影を為す季節になっていて、いまも、春心の傷跡を負ったまま。

 

(訳注)

 虞美人六首 其一

1.(早春の日には寵愛を受けていたが、すぐに逢えなくても我慢してきた、約束の日にも訪ねてくれず、春の傷心が、つづくことを詠う。)

2. 項羽の愛姫で虞姫ともいう。5年にわたる楚・漢抗争のすえ,前202年に項羽は劉邦の漢軍によって垓下(がいか)(安徽省霊璧県)に囲まれた(垓下の戦)。夜,四面から聞こえてくる楚の歌に,項羽は郷里の楚も漢におちたことを悟り(四面楚歌),虞美人をかたわらに決別の酒宴をひらいた。項羽は悲憤慷慨し,涙して辞世の詩をうたうと,彼女も唱和し,みな泣き伏したという。虞美人草の名は,彼女の鮮血が化して草花になったという伝から来ている。

秦末・虞美人『虞美人歌』

漢兵已略地,四方楚歌聲。

大王意氣盡,賤妾何聊生。

 虞美人の歌)

漢兵 已に地を略し,四方 楚の歌聲。

大王 意氣盡き,賤妾 何ぞ生を聊んぜん。

漢の軍勢がすでに楚の国土を侵略してきたようだ。四方周りは敵の漢軍であるがその中に裏切りなのか故郷の楚の歌声が聞こえる。落胆した覇王項羽大王の意気は尽き果てたのだ。この後、このわたくしは何を頼りに生きていけばいいのでしょうか。 

虞美人歌  秦末・虞美人 詩<118>古代 女性詩 555 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1482

『史記正義』に出てくる楚の項羽(項籍)の女官である虞美人の作といわれる。項羽が、垓下で敗れたときに慷慨悲歌したときの詩

項羽『垓下歌』

力拔山兮氣蓋世,時不利兮騅不逝。

騅不逝兮可奈何,虞兮虞兮奈若何!

であるが、それに対して虞美人が歌い舞った。

項羽と劉邦は戦いと和睦を繰り返しながら、垓下で雌雄を決する一戦を迎える。この時、項羽の少数の軍勢を大軍で取り囲んだ劉邦は、味方の兵士たちに項羽の祖国楚の歌を歌わせる。この歌を聞いた項羽は味方の兵が寝返ったのだと誤解して絶望する。その絶望の中で歌ったとされるのが、「垓下歌」である。

・西楚覇王・項羽の愛姫・虞姫の唱った歌。 

・この悲劇に基づき後世、同題の詩が作られる。 

・虞美人 項羽の女官。「美人」は位。

・実質上の妻。『史記・項羽本紀』虞姫は、どの戦闘にもついて行った。

 

 3. 【構成】 『花間集』には顧夐の作が六首収められている。双調五十八字、前後段五句二十九字二仄韻三平韻で、❼❺⑦⑦③/❼❺⑦⑦③の詞形をとる。

虞美人六首 其一

曉鶯啼破相思,簾看金泥

宿粧猶在酒初,翠翹慵整倚雲,轉娉

香檀細畫侵桃,羅袂輕輕

佳期堪恨再難,綠蕪滿院柳成,負春

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●?△●●○△  ●△○●△○△ ●●○

○○●●△○△ ○●△△●

○○○●●△○ ●○●△●○○  ●○○

 

虞美人六首其一

 

花間集『虞美人』十四首

毛文錫(毛司徒文錫)

虞美人二首

顧太尉

虞美人六首

孫少監光憲

虞美人(虞每人)二首

鹿太保虔扆

虞美人一首 

閻處士選

虞美人二首

李秀才珣

虞美人一首

唐の教坊の曲名。『花間集』には十四首所収。毛文錫の詩は二首収められている。

 

 

虞美人二首 其一  双調五十八字、前後段五句二十九字二仄韻三平韻で、❼❺⑦⑦③/❼❺⑦⑦③の詞形をとる。

鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。

垂楊低拂麴塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。

遙思桃葉江碧,便是天河隔。

錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任。

○○●●○○● ●●○△●

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7毛文錫《巻五05虞美人二首其一》『花間集』206全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6302

 

毛文錫

虞美人二首 其一

鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。

垂楊低拂塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。

遙思桃葉江碧,便是天河隔。

錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任。

鴛鴦 対浴して銀塘 暖かに、水面 蒲梢 短し。

垂楊 低く払う 麹塵の波、蛟絲 網を結びて 露珠 多く、円荷に滴る。

遙かに思うは 桃葉 呉江の碧ならんこと、便ち是れ 天河 隔つ。

錦鱗紅髭 影 沈沈として、相い思うも 空しく夢の相い尋ぬる 有るのみ、意 任え難し

(鴛鴦のように過したが、今は高貴な人の妻、二人の間には天の川がある。そこにいるとわかっていても手が届かないもどかしい男の気持ちを詠う。虞美人に男の気持ちは伝わらない。)

鴛鴦は銀色に光る池の水に遊び、堤には春の暖かさがひろがり、それでも水面より顏を出す蒲はまだ短い。

柳の枝は水面に届くほどに垂れて掃き拂うよう、池の波は柳の薄黄の色にそまっている。その水面に映る枝は、蛟が蜘蛛の巣に結べる露の玉のように多くある、円い蓮の葉は露がこぼれ落ちるようだ。 

いまわたしが思いつづけるわたしの東晋の情熱の女妓「桃葉」は遙か碧の呉江のほとりにある。すなわち、ここには二人を引き裂くのは天の川が横たわっている。

 錦の鱗魚は水底深く住んでいて、文を出すすべもなく、これだけ恋い焦がれているのに、ただ夢に尋ねるだけなのだ、この思いはもう堪えがたい。

『虞美人歌』

 

『虞美人二首 其二』

寶檀金縷鴛鴦枕,綬帶盤宮錦。

夕陽低映小明,南園綠樹語鶯鶯,夢難成。

玉鑪香暖頻添,滿地飄輕絮。

珠簾不卷度煙,庭前閑立畫鞦韆,陽天。

(虞美人二首 其の二)

寶檀 金縷 鴛鴦の枕,綬帶 盤宮の錦。

夕陽 低く映え 小の明,南園 綠樹 語るはなり鶯鶯,夢成り難し。

玉鑪 香暖 頻りに添けなくも炷し,滿地 輕絮飄う。

珠簾 不卷 沉煙度り,

庭前 閑立 鞦韆を畫し,陽天を豔す。

(愛し合いながらも別れることになる青春の悲恋をうたう。)

そのころは、女の閨には寶檀に金糸飾りがあり鴛鴦の枕、綬帶鳥図に盤宮錦とありとあらゆる夫婦円満の飾りにかこまれている。夕日も低く照らし、閨の小窓を明るくする。春も終わるころになり南側の庭園に葉もうっそうと茂るころには、愛し合いながらも別れることになる「鶯鶯伝」を語ることになる。夢は、現実になることは難しいものだ。宝玉でできた立派な香炉には、香が暖められてしきりにくゆらせながら立ち上る。そこの池中に軽やかに柳絮の綿が飛び交っている。玉すだれは巻き上げることはなく、その内には、香は深く垂れこめ部屋中に行き渡る。その庭を前にして、あれほど楽しく遊んだ綺麗に画き飾られたブランコがポツンと建っている。そこには天高く太陽が艶やかに光っているだけなのだ。

 

曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。

春を告げに鶯が啼き、この夜を過ごし夢の続きを破られてしまう。起き上がり、寝床を離れて金泥の鳳模様の簾を巻き上げて鳴き声の方をみる。

4. 曉鶯 春を告げに夜明けに啼く鶯。科挙試験にやっと及第した出世前の男。花間集の「曉鶯

溫庭筠

(巻一05菩薩蠻十四首其五)杏花含露團香雪,綠楊陌上多離別。燈在月朧明,覺來聞曉鶯。玉鉤褰掛起翠,粧淺舊眉薄。春夢正關情,鏡中蟬鬢輕。

溫庭筠

(巻一16更漏子六首其二)星斗稀,鐘鼓歇,簾外曉鶯殘月。蘭露重,柳風斜,滿庭堆落花。虛閣上,倚蘭望,還似去年惆悵。春欲暮,思無窮,舊歡如夢中。

溫庭筠

(巻一29定西番三首其三)細雨曉鶯春晚。人似玉,柳如眉,正相思。羅幕翠簾初捲,鏡中花一枝。腸斷塞門消息,鴈來稀。

溫庭筠

(巻二04清平樂二首其二)花半坼,雨初晴。未卷珠簾,夢殘,惆悵聞曉鶯。宿粧眉淺粉山橫,約鬟鸞鏡裡,繡羅輕。訴衷情鶯語花舞春晝午,雨霏微。

韋莊

(巻二45荷葉盃二首其二)記得那年花下,深夜,初識謝娘時。水堂西面畫簾垂,攜手暗相期。惆悵曉鶯殘月,相別,從此隔音塵。如今俱是異人,相見更無因。

張泌

(巻五01江城子其一)碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。飛絮落花,時節近清明。睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

顧夐

(巻六34虞美人六首其一)曉鶯啼破相思夢,簾看金泥鳳。宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

顧夐

(巻六48玉樓春四首其一)月照玉樓春漏促,颯颯風搖庭砌竹。夢驚鴛被覺來時,何處管絃聲斷續。惆悵少年游冶去,枕上兩蛾攢細綠。曉鶯簾外語花枝,背帳猶殘紅燭。

魏承班

《巻九13漁歌子》  柳如眉,雲似髮。蛟籠香雪。夢魂驚,鐘漏歇,外曉鶯殘月。幾多情,無處,落花飛絮清明節。少年郎,容易別,一去音書斷

鹿虔扆

《巻九15臨江仙二首 其二》  無賴曉鶯驚夢斷,起來殘醉初醒。映絲柳煙青,翠簾慵卷,約砌杏花零。一自玉郎遊冶去,蓮凋月慘儀形。暮天微雨灑閑庭,手裙帶,無語倚雲屏。

 

宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。

今日も寝化粧のままですごし、酒は初めから酔いはしないのでまた飲む、翡翠の簪を物憂げになおして、鏡を見てから、雲母の屏風に寄り添ってみると、いよいよ艶めかしさが増している。 

5. 宿粧 昨夜の化粧。

6. 翠麺 茹翠の羽を飾った管。

7. 雲屏 雲母を散らした屏風。

8. 転嫁好 いよいよ艶やかである。転は、ますます、いよいよ。焙好は艶やかで美しい。

 

香檀細畫侵桃臉,羅袂輕輕斂。

香しき薄紅色の白粉を眉尻から頬にかけてすかしを入れて、桃の花のように優しい顔に化粧をなおすが、涙がにじむので薄絹の袂でそっとなんども拭う。

9. 香檀細画侵桃瞼 香しい紅で眉から頬のあたりに入れたぼかしがかかっていること。・檀は檀色、薄赤色。・桃腺は桃の花のように美しい顔、頬。

10. 羅袂輕輕斂 薄綿の裸で(頬までかかった紅の曇かしを)そっとぬぐい取る。敵は言所に集めるというのが原義。ここで赦の字をわざわざ使ったのは前句の腺と韻を踏まなければならないため。なお別の解釈として、そっと薄絹の枚をおさめて化粧箱を片付ける、ぁるいほ、長い薄絹の袖をそっと巻く、と解する説もある。

 

佳期堪恨再難尋,綠蕪滿院柳成陰,負春心。

逢瀬の約束の日がきて、再びたずねることが出来ないのも、恨めしき気持ちのまま堪えなければいけないが、奥の院の庭一面に草花はいっぱいに咲き乱れているが、もう柳の葉が茂って暗く影を為す季節になっていて、いまも、春心の傷跡を負ったまま。

11. 負春心 恋心に背く。男を恋しく思いながらも、再会するすべがなく、せっかくの春を無にして、恋心の叶えられぬことを言う。負は背く。春心は冬の間は万物貯え、我慢して春を迎えることで、情を交わし合うこと。逢えなくても我慢してきた春の心が約束の日にも訪ねてくれず、春心の傷跡を負ったままである。

春花003

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