花間集 訳注解説 (219)回目張泌 《張泌【字解集】 ―2 a. 臨江仙 b. 女冠子 c.河傳二首 D.酒泉子二首 E.生查子 F.思越人 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8882
花間集 訳注解説 (219)回目張泌 《張泌【字解集】 ―2 a. 臨江仙 b. 女冠子 c.河傳二首 D.酒泉子二首 E.生查子 F.思越人 》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8882
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| 花間集 巻四 張泌-2 字解集 | |
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【字解集】 a. 臨江仙
臨江仙 一首
1. (洞庭湖に灌ぐ秋の大江は静かに流れ、瀟湘八景八景を彩るカンナの花は露に泣き愁いに紅く色に染まる瀟湘八景八景には、桃源郷初め、屈原の断腸の思いでの投身、娥皇女英が投身した地でもあり、彼女らを祀った宮祠殿には冷たい雨と風が吹き付けると詠う)
2. 【解説】前段二段は、湘江の女神、娥皇と女英を祭った社を訪れた時の感懐を詠う。鶴に乗って去ったきり行方知れずの堯の娘蛾皇、女英を追慕する思いを吐露する。後段二段は、辺りに繁る青竹の娥皇、女英の怨みの涙の跡を今もなお留め、今の道女の美しさを詠い、波音は二人が奏でる琴のようであることを述べる。そして末三句で、古びた祠殿には、花のように髪を結いしげ、三日月のような賓を垂れた、黒髪豊かな道女がいる。香炉に薫かれる香の香りは吹きつける雨風に溶け入り、物寂しさが漂うことを言う。なお前段の泣き濡れたように露が降りた紆蕉(カンナ)の花は、娥皇、女英を連想させる働きをしているし、そこに今は美しい道女が居るのか、あるいはいてほしいということである。あるいは女性の精気を連想させるのである。
3. 【構成】唐の教坊の曲名。『花間集』には二十六首所収。張泌の作は一首収められている。双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる。
臨江仙 一首
煙收湘渚秋江靜,蕉花露泣愁紅。
五雲雙鶴去無蹤,幾迴魂斷,凝望向長空。
翠竹暗留珠淚怨,閑調寶瑟波中,花鬟月鬢綠雲重。
古祠深殿,香冷雨和風。
○△○●○○● ○○●●○○
●○○●●○○ △△○● △△●△△
●●●△○●△ ○△●●○△ ○○●●●○△
●○△● ○△●△△。
4. 〇湘 瀟湘八景(しょうしょう はっけい)とは、中国の山水画の伝統的な画題。またその8つの名所のこと。瀟湘は湖南省長沙一帯の地域。洞庭湖と流入する瀟水と湘江の合流するあたりを瀟湘といい、古来より風光明媚な水郷地帯として知られる。湘江は、広西チワン族自治区北部臨桂県の海陽山に発する。海洋圩から流れる海洋河を源流とし、北東方向へ広西チワン族自治区を流れる。湖南省永州市東安県の瀑埠頭で湖南省に入る。永州市では紫水、石期河、瀟水、応水、白水などの支流が、衡陽市では蒸水と耒水が、衡山県では洣水が、株洲県淥口鎮で淥水が、湘潭市で漣水が流入する。長沙市の中心で瀏陽河と撈刀河が、望城県新康で溈水が流入し、湘陰県の濠河口で左右に分かれて洞庭湖に注ぐ。湘江には2,157の支流があるとされ、主要な支流のうち、瀟水、耒水、洣水、淥水、瀏陽河は東岸の支流で、祁水、蒸水、涓水、漣水、溈水は西岸の支流である。
5. 〇焦花 美人蕉の花。カンナの花。
6. 〇五雲 五色の瑞雲。めでたい兆しとして出現する、紫色や五色の仙界の雲。
7. 〇双鶴去無躍 堯の二人の娘である娥皇と女英は、舜の后妃となったが、舜が崩御すると湘江に身を投じて、湘江の神、湘霊になったと伝えられる。本句は、湘江の神霊となった娥皇と女英が、舜を探し求めるために、鶴に跨って飛び去ったきり、行方の知れぬことを言う。
8. 〇幾迴魂斷 桃源郷の伝説もこの一帯から生まれた。 屈原の『楚辞』「九歌」や「離騒」には、伝説上の皇帝堯の二人の娘湘君・湘妃の物語が幻想的に詠われている。後に二人は湘山に祀られた。戦国時代、この詩を詠んだ屈原自身もこの地を彷徨い、詩を詠み、ついには失意のうちに身を投じている。洞庭湖の畔に建つ岳陽楼には各地から文人が集い雅会を開いた。唐の張説、杜甫、宋代の范仲淹など多くの詩文がこの名勝の地で生まれた。
9. 〇翠竹暗留珠淚怨 娥皇と女英は湘夫人と呼ばれ、舜が崩御すると泣き崩れて涙を竹に払った。すると竹は残らず斑模様になったと言う。今の斑竹がそれである。本句はこの伝説を踏まえる。
10. 〇閑調寶瑟波中 逐語訳すれば、静かに波間で琴を奏でる。ここでは波音を湘夫人が奏でる琴の音に喩える。
11. 〇花鬟月鬢綠雲重 社に祀られた湘大人の像の髪の毛を形容した言葉。
12. 〇古祠深殿 娥皇と女英を祀る奥深い宮祠殿。
【字解集】 b. 女冠子
女冠子一首
1(後宮に祀られた祠の舞台、祭壇に、後宮に入った若い女冠子をうたうもので、膨大な数の尼と女道士(女冠)の集団の中のアイドルの頂点のような存在である、しかし歳を重ねれば世代交代ということはつきものである。数万にも及ぶ女道士も人知れずなくなっていくと詠う。)
2. ・女冠
宗教や迷信に携わる専業の女性である。彼女たちは唐代の女性の中ではきわめで特殊な階層であった。彼女たちは基本的には生産に携わらない寄生的階層であり、同時にまたいささか独立性と開放性をもった階層であった。
唐代には仏教、道教の両宗教がきわめて盛んであり、寺院、道観は林立し、膨大な数の尼と女道士(女冠)の集団を生み出していた。数万もの尼や女道士には、出家以前は高貴な身分であった妃嬢・公主や、衣食に何の心配もない貴婦人・令嬢もいたし、また貧と窮がこもごも重なった貧民の女性、身分の餞しい娼妓などもいた。
出家の動機は、次のようないくつかの情況に分けることができる。
① 家族あるいは自分が仏教、道教を篤く信じて出家した人々である。
② 病気のため仏にすがり、治癒した後に仏稗と名を改め、自ら剃髪して尼となることを願った。長安にあった成宜観の女道士は、大多数が士大夫の家の出身であった。しかし、こうした人は少数であり、
③ 圧倒的多数はやはり各種の境遇に迫られ、あるいは世の辛酸をなめ尽して浮世に見切りをつけ、寺院や通観に入って落ち着き先を求めた人々であった。その中には、夫の死後再婚を求めず入信して余生を送ろうとした寡婦もいる。
④ 家族が罪にふれて生きる道がなく、寺院や通観にたよらざるをえなかった者もいる。
⑤ 妓女、姫妾が寺院や通観を最後の拠り所にすることもあった。有名な女道士魚玄機はもともとある家の侍妾であったが、正妻が容認しなかったので道観に入った(『太平広記』巻二二〇)。妓女は年をとり容色が衰えると出家するのが一般的だった。
⑥ 貧民の家の大量の少女たちがいる。彼女たちはただ家が貧しく親に養う力がないという理由だけで、衣食に迫られて寺院や道観に食を求めざるを得なかった人々である。
唐の教坊の曲名。女冠は女黄冠、女道士、道姑。唐代において女道士は皆、黄冠を戴いた。『花間集』 3. 【構成】には張泌の作が一首収められている。双調四十一字、前段二十三字五句二仄韻二平韻、後段十八宇四句二平韻で、❹❻③5⑤/5⑤5③の詞形をとる。
女冠子 一首
露花煙草,寂寞五雲三島,正春深。
貌減潛銷玉,香殘尚惹襟。
竹疎虛檻靜,松密醮壇陰。
何事劉郎去,信沉沉。
●○○● ●●●○△● △○△
●●△○● ○○△●○
●△○●● ○●△○○
△●○○● △○○
4. 【張泌】張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。
5. ○露花 露に濡れた花。つゆに湿った花。李商隠《無題二首其二》「露花終裛濕、風蝶強嬌饒。」あの人は露を含む花のようでしっとりとぬれさせてくれる、風に舞う蝶のようなあの人はなまめかしさをふりまき愛嬌でさそってくれるのだ。
・裛湿「裛」は泡に通ずる。湿と同じくうるおう。・風蝶 風のなかに舞う蝶。・強嬌 なまめかしさをいう畳韻の語。『王台新詠』に桑摘みのむすめを唱った「重病綾の詩」がある。同音の「嫡嬢」とも表記する。
無題二首其二(幽人不倦賞) 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-91
6. ○煙草 霞がかかっている草原。
7. ○寂寞【せきばく】1 ひっそりとして寂しいさま。2 心が満たされずにもの寂しいさま。
8. ○五雲【ごうん】1 仙人や天女が遊ぶ所にかかるという五色の雲。2 「五雲の車」の略。ごうんのくるま【五雲の車】もと、中国で、5色の雲を描いた車。貴人の乗用とした。また、天子の車。
9. ○三島 神仙の住む蓬莱・瀛州・方丈になぞらえられた3島(三神島)。 黄河が渤海へと注ぐ岸に立ち、遥か東の海上をのぞむと、忽然と浮かび上がる島影。ここは、道教寺観の道妓:女冠子の居る環境をいう。
10. ○貌減 すがたがきえる。
11. ○銷 1 金属をとかす。とける。「銷金」2 消える。消す。
12. ○惹 (1) (よくない事を)引き起こす。(2) 感情を害する,気に障ることを言う。(3) 注意を引く,ある反応を引き起こす
13. ○醮の用語解説 - 中国における道教の祭祀の一つ。《隋書》経籍志の道経序録によれば,醮とは災厄を消除する方法の一つで,夜中,星空の下で酒や乾肉などの供物を並べ,天皇太一や五星列宿を祭り,文書を上奏する儀礼をいう。
14. ○劉郎 別れ去る愛しい男。仙桃を味わった浦島太郎のような人物である劉晨=劉郎である夢心地の状態にある男、何年も訪れてくれなくなっているのでこのようにいう。12年もたっていることと、全く景色が変わって、ここにいる女を含めみんなが全く変わっていたというものだ。 劉禹錫『再遊玄都觀』「百畝庭中半是苔,桃花淨盡菜花開。種桃道士今何歸,前度劉郞今又來。」
天仙子二首 其一
晴野鷺鷥飛一隻,水葓花發秋江碧。
劉郎此日別天仙,登綺席,
淚珠滴,十二晚峯高歷歷。
天仙子二首其一 皇甫松 ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-375-6-#67 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3422
15. ○沉沉 (1) ずっしり重い,重量のある.(2) うち沈んだ,重苦しい.
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【字解集】 c.河傳二首
河傳二首 其一
1. (旅立った人のことを思う女性の悲しみを詠う。)
2. 【解説】前段は、果てしない水平線の彼方に去ってゆったのを思い出し、帰り舟を漠然と見ている船を描写し、万里、千里の行先にはたくさんの雁が居るのに、その雁に「雁書」をたくしてくれない。後段は、今では私のことを夢見ることもないのか、おんなは夢でどこまで行けばあの人に会えるのかと問いかける。そして、床は冷たくて再び寝付けず、涙で布団の襟を濡らすことを詠む。「夕陽芳草千里、万里」の語は、実景であると同時に、男が帰って来ないのではないかという女の不安を示す。
花間集の「河傳」は以下の通り。
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| 花間集 教坊曲『河傳』十八首 | | |||
| 溫助教庭筠 | 巻二 | 曉妝仙,仙景箇 | | |
| 巻二 | 雨蕭蕭,煙浦花 | | ||
| 巻二 | 杏花稀,夢裡每 | | ||
| 韋相莊 | 巻二 | 何處,煙雨,隋堤 | | |
| 巻二 | 春晚,風暖,錦城 | | ||
| 巻二 | 錦浦,春女,繡衣 | | ||
| 張舍人泌 | 巻五 | 渺莽雲水,惆悵暮 | | |
| 巻五 | 紅杏,交枝相映, | | ||
| 顧太尉敻 | 巻七 | 鷰颺,晴景。小䆫 | | |
| 巻七 | 曲檻,春晚。 | | ||
| 巻七 | 棹舉,舟去,波光 | | ||
| 孫少監光憲 | 巻七 | 太平天子,等閑遊 | | |
| 巻七 | 柳拖金縷,着煙籠 | | ||
| 巻七 | 花落,煙薄,謝家 | | ||
| 巻七 | 風颭,波斂。 | | ||
| 閻處士選 | 巻九 | 秋雨,秋雨, | | |
| 李秀才珣 | 巻十 | 朝雲暮雨,依舊 | | |
| 巻十 | 落花深處,啼鳥 | | ||
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3. 【構成】「花間集』には張泌の作が二首収められている。双調五十一字、前段二十五字六句五仄韻、後段二十六字六句四仄韻で、❹4❹❻❷❺/❼❸5❻❺の詞形をとる。
河傳二首 其一
渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。
夕陽芳艸千里,萬里,鴈聲無限起。
夢魂悄斷煙波裡,心如醉。
相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。
●●○● ○●●△ ●○○●
●○○●○● ●● ●○○●●
△○●●○○● ○△●
△●△●● ●△○△○● ●○○●●
4. ○渺莽 霞がかかって、河水が浩大なさま、はてしなく広いさま;
5. ○惆悵 恨めしく思うこと。恨み嘆くこと。うらめしい。うらみがましい。温庭筠『更漏子 一』「惆悵謝家池閣」 謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」送姪良携二妓赴会稽戯有此贈 李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -287
池閣は、謝霊運の「池塘生春草」謝霊運の「池塘生春草」にかけて、池堀に春草の生ずるようになったという春情にかける意がある。
6. ○暮帆 夕ぐれに帰る舟。魚玄機『江陵愁望寄子安』「楓葉千枝復萬枝,江橋掩映暮帆遲。憶君心似西江水,日夜東流無歇時。」
7. ○迢遞 遙遠的樣子。指路途遙遠。遙かに遠い。遠くに隔たる。遙か高く遠くに。
韋荘 『上行杯二首 其二』
白馬玉鞭金轡。少年郎,離別容易。
迢遞去程千萬裏。
惆悵異鄉雲水,滿酌一杯勸和淚。
須愧,珍重意,莫辭醉。
120上行杯 其二 韋荘 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-298-5-#52 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3037
8. ○鴈聲無限起 「雁声無限に起こる」の語は、雁書を託せる雁は沢山いるはずなのになぜ音信がないのかという意味。
9. ○夢魂情断煙波裏 女性は、船に乗り旅立っていった男を夢で追いかけて行くが、追い付く前に、途中の波間で目が覚めてしまったということ。夢魂は夢。
10. ○心如酔 失意の余り、酔ったように虚ろになること。
11. ○被頭 布団の襟。
河傳 二首 其二
12. (今年も杏の花が咲き乱れる春の終わり、春風も、鶯も春を教えてくれたが、妃嬪は、いくら待っても寵愛を受ける事は無い、何時しか酔うことで仙界にいることを出紛らわせ、酔い続けるのであると詠う)
13.【解説】前段は、女としてこんなにも愛されていたということを云い、中段で、他の妃嬪に向かい、天子の足が遠のくのを必死で取り返そうとする。後段ではもはや仙人のように毎日飲んだくれて過ごす妃嬪を詠う。杏の花は、三月の科挙及第者の祝宴を連想させれを過ぎるとすぐに初夏になる、春の終わりを感じさせる花である。
14. 【構成】「花間集』には張泌の作が二首収められている。其の一は双調五十一字、前段二十五字六句五仄韻、後段二十六字六句四仄韻で、❹4❹❻❷❺/❼❸5❻❺の詞形をとる。
河傳二首 其一
渺莽雲水,惆悵暮帆,去程迢遞。
夕陽芳艸千里,萬里,鴈聲無限起。
夢魂悄斷煙波裡,心如醉。
相見何處是,錦屏香冷無睡,被頭多少淚。
●●○● ○●●△ ●○○●
●○○●○● ●● ●○○●●
△○●●○○● ○△●
△●△●● ●△○△○● ●○○●●
其の二は双調五十四字、前段二十二字六句五仄韻、後段二十九字六句五仄韻で、❷4❹❼❷❸/❼3❺❼❷❺の詞形をとる。
河傳 二首 其二
紅杏,交枝相映,密密濛濛。
一庭濃豔倚東風,香融,透簾櫳。
斜陽似共春光語,蝶爭舞,更引流鶯妬。
魂銷千片玉樽前,神仙,瑤池醉暮天。
○● ○○△● ●●△△
●○○●△○△
○○ ●○○
○○●△○△● ●○●
△●○○● ○○○●●○○
○○ ○○●●○
15. ○杏 ・杏花 ピンク色の花。 桜とよく似ている。 開花は桜より少しだけ早いようだ。 幹の部分は桜と同じく 横向きの線が入る
張泌『浣渓沙 十首 其八』
偏戴花冠白玉簪,睡容新起意沉吟,翠鈿金縷鎮眉心。
小檻日斜風悄悄,隔簾零落杏花陰,斷香輕碧鏁愁深。
浣渓沙 十首 其八 張泌【ちょうひつ】 ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-346-7-#8 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3277
花間集 「紅杏」 | ||
牛嶠 | 巻四17 | 玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。 |
張泌 | 巻四41 | 紅杏,交枝相映,密密濛濛。 |
孫光憲 | 巻七49 | 玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。 |
孫光憲 巻七49河傳四首其三花落,煙薄,謝家池閣。寂寞春深,翠蛾輕斂意沉吟。沾襟,無人知此心。玉鑪香斷霜灰冷,簾鋪影,梁鷰歸紅杏。
16. ○梁燕帰紅杏 燕は梁の巣に紅い杏の花咲く時節に帰って来た。
17. ○密密 1 きわめて秘密なこと。また、そのさま。内々(ないない)。2 配慮がこまやかであるさま。
18. ○濛濛 1 霧・煙・ほこりなどが立ちこめるさま。「―と砂ぼこりをまき上げる」2 心がぼんやりとしているさま。
19. ・濃豔 華麗鮮豔。
20. ・鶯妬 鶯が美声で啼きあい、うまく鳴けなくて卑屈になっている、這いを謳歌できないものは妬むということ、寵愛を失った年増の妃嬪をいう。
21. ・千片 盃を繰り返すこと。
22. ・玉樽前 飾りのついた盃を前にする。
23. ・神仙 不老不死で、神通力をもつ人。仙人。
24. ・瑤池 崑崙山にあり、周の穆王が西王母と会ったという伝説の仙境。西王母は仙女王。魚玄機『光・威・裒、姉妹三人、小孤、而始姸乃有是作。精醉儔難。謝家聯雪何以加之。有客自京師来者示予。因次其韻。』 「恐向瑤池曾作女,謫來塵世未為男。」三人の姉妹はその西王母に仕えていた天上仙宮の仙女であったろうという心。
瑤池 李商隱 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 52
瑤池阿母綺窗開、黄竹歌聲動地哀。
八駿日行三萬里、穆王何事不重來。
崑崙山の瑶池に住む不老不死の薬を持つ女の仙人の西王母(せいおうぼ)は、綾絹(あやぎぬ)を張った美しい窓を開けると。穆王が作った民の苦しみを歌った『黄竹詩(こうちくし)』の歌声が地を揺るがせて響いてきて哀(あわれ)なものだ。
西王母とは、西方の崑崙山上に住する女性の尊称である。すべての女仙たちを統率する聖母。東王父に対応する。
周の穆王が西に巡符して崑崙に遊び、彼女に会い、帰るのを忘れたという。また前漢の武帝が長生を願っていた際、西王母は天上から降り、三千年に一度咲くという仙桃七顆を与えたという。
周の穆王は八頭だての馬車に乗って、一日に三万里の道のりを行ける、穆王は、どうしてなのだろうか、西王母の許へ再び来ることはなかった。
25. ・暮天 夕暮れ時の空。暮れ方の空。
【字解集】 d.酒泉子二首
酒泉子二首 其一
1.(寵愛を失った妃嬪の孤閏の酒におぼれる悲しみを詠う。)
2.【解説】寵愛を失った妃嬪の孤閏の悲しみを詠うもので、末尾の、もう幾年も続いている古巣に新しい番の燕がやって来て子を作り、育て、仲良く鳴き交わしているとは、それだけが変化している出来事であると女性の孤独を際立たせている。
3.【構成】『花間集』には張泌の作が二首収められている。双調四十三字、前段二十字五句二平韻二仄韻、後段二十三字五句二平韻二仄韻で、④❼3❸③/⑦❼3❸③の詞形をとる。
酒泉子二首 其一
春雨打䆫、驚夢覺來天氣曉。
畫堂深、紅焰小、背蘭缸。
酒香噴鼻懶開缸、惆悵更無人共醉。
舊巢中、新鷰子、語雙雙。
4. 春雨打䆫 雨交じりの東風が夜の間中つよく吹いて窓にたたきつける。
5. 天気暁 空の気配は明け方。時は既に暁であることを言う。
6. 畫堂深 彩の御殿の表座敷が奥まったところにあるという意。
7. 紅焰小 火影小さく、芯が燃え尽きるまで、誰も燃えカスを処理しないほどに物憂げになっている意。
8. 背蘭鉦 灯火の光が目に入らぬよう背ける。この表現も、うとうととしていて、なおかつ物憂げであることをいう。
9. 酒香唱鼻 酒の香りが鼻を打つ。
10. 新鷰(燕)子 また新らたに燕が来たこと、子は燕が子を育てをする。この三句は、もう何年も繰り返していることを表現している。
酒泉子二首 其二
11. 〔(春の科挙発表の無礼講を詠う。)長安の街は春の景色に染まっている、科挙合格の発表の無礼講のころから春の終わりにかけて、貴公子らは五陵、咸陽、高級住宅街を我が物顔で遊び歩く、それが毎年のことで毎夜、月が真上に在るころまでは大騒ぎしている。〕
12.【解説】春の科挙発表の無礼講を詠う。前段、長安城、近郊の秦の都、漢の未央宮を詠い、杏園での祝賀に始まって、貴族の家の庭は解放され、牡丹の花を競った。後段、貴族の子息は無礼講で酒を飲んで馬を走らせ、夜遅くまで大騒ぎをする。春景色を詠い、北の五陵の高級居住地域の貴公子を詠い、弄ばれた女性のことを連想させる。
13.【構成】『花間集』には張泌の作が二首収められている。双調四十三字、前段二十字五句二平韻二仄韻、後段二十三字五句二平韻二仄韻で、④❼3❸③/⑦❼3❸③の詞形をとる。
酒泉子二首 其一
春雨打䆫、驚夢覺來天氣曉。
畫堂深、紅焰小、背蘭缸。
酒香噴鼻懶開缸、惆悵更無人共醉。
舊巢中、新鷰子、語雙雙。
双調四十三字、前段二十字四句二平韻一仄韻、後段二十三字四句二平韻二仄韻で、4+❻+⑦+③=20 /⑦+❻+⑦+❸=23の詞形をとる。
酒泉子二首 其二
紫陌青門,三十六宮春色。
御溝輦路暗相通,杏園風。
咸陽沽酒寶釵空,笑指未央歸去。
插花走馬落殘紅,月明中。
●●○○ △●●○○●
●○●●●△○ ●○△
○○△●●○△ ●●●○○●
●○●●●○○ ●○△
14. ・紫陌青門 長安を東西に抜ける最も拡幅(104m)の大きい通り、春明門から入城し、西の金光門までの東西道、南北道は中央の朱雀路が最も広く120mの拡員であった 紫陌【しはく】都の街路。都の市街。紫陌,長安の道路を指す。青門は春明門。
15. ・三十六宮 漢の武帝がつくった三十六か所の宮殿。李賀『金銅仙人辭漢歌』「畫欄桂樹懸秋香,三十六宮土花碧。」(畫欄の桂樹秋香を懸け,三十六宮土花碧なり。)
班孟堅《西都賦》
東郊則有通溝大漕,潰渭洞河。
汎舟山東,控引淮湖,與海通波。
西郊則有上囿禁苑,林麓藪澤,陂池連乎蜀漢。
繚以周墻,四百餘里。
離宮別館,三十六所。
(東郊と西郊) 東の郊外には、疏水、大運河があり、渭水に交流して過ぎ、黄河につきぬけて流入する。
舟を山東の地にうかべ、淮水や湖水の水を引きこみ、海と水波を相通じて一つとなる。
西の郊外には、天子専用の自然公園や禁宛、深林・大湿地帯・用水池があり、萄漠の地に向かって続き、牆をぐるりとめぐらすこと四百余里。
離宮・別館が三十六か所、神池・霊沼が至るところに存在する。
班孟堅(班固)《西都賦》(16)#6(東郊と西郊)-1 文選 賦<112―16>18分割55回 Ⅱ李白に影響を与えた詩970 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3398
16. ・御溝 御溝水、渠溝、運河、宮中の庭を流れる溝の水。曲江の芙蓉苑に向かう運河。南北、東西に設置された。当時の大量輸送手段は、船舶によるものである。
17. ・輦路 輦道(れんどう)」に同じ天子の車の通路。興慶宮から曲江の杏園に向かう専用道路。
18. ・杏園 長安の曲江の池の畔(ほとり)にあった杏園で、祝宴を賜り、長安の街を園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。また、貴族は自邸自慢のボタンを庭を開放して鑑賞させ、合格者の無礼を許した。
19. ・杏園:官吏登用試験(科挙)に合格した進士たちの祝宴会場。科挙に合格した進士には、曲江の池の畔(ほとり)の杏園で、祝宴を賜り、長安の街で園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。
20. ・杏園人:科挙に合格し、新たに進士となった人たちを指す。
21. ・咸陽 秦朝の首都として大いに栄えた。風水においては山・丘・阜などの南側、河・江・川・湖などの水辺の北側を陽と言う。この都市は九嵕山の南、渭水の北に当たり「咸陽」なためにこの名前がついた。
22. ・沽酒 酒を売買すること。また、その酒。
23. ・未央 前漢の都である長安の南西部にあった宮殿であり、前漢の皇帝の居場所であった。 『三輔黄図』によると漢の高祖7年に、少府陽城延の指揮のもと、丞相蕭何が主導して造営を開始した。
咸陽沽酒 “五陵・少年” 李白、王維、杜甫が詩にしている、李白『少年行』「五陵年少金市東,銀鞍白馬度春風。落花踏盡遊何處,笑入胡姫酒肆中。」
・少年を題材にしたものは盛唐の詩人の間で流行っていたのだろう。杜甫も最初二首詠い、しばらくして、この一首詠っている。どの詩人も貴族の親に向けて、批判はできないが、その息子らの破廉恥な様子を詠うことにより、貴族社会を批判している。
・貴族の子弟が酒屋において傲慢に酒を貪ったさまをうたう。(762)宝応元年、杜甫51歳の成都での作品。李白や、王維の同名の作品は楽府、音楽に合わせて歌うように詩を読むものであるが、杜甫のこの詩は七言絶句の形式の歌行である。同種の『貧孝行』がある。
王維の「少年行四首」は漢時代を借りて四場面の劇構成になっている。
王維『少年行四首』 其一
新豊美酒斗十千、咸陽遊侠多少年。
相逢意気為君飲、繋馬高楼垂柳辺。
【字解集】 e.生查子
生查子一首
1. (愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)
2. 【構成】「生查子」は、唐教坊曲の名、『花間集』には七首所収。張泌の作は一首収められている。双調四十三字、前段二十二字四句三仄韻、後段二十一字五句三仄韻で、3❹❺5❺/3❸❺5❺の詞形をとる。
生查子一首
相見稀,喜見相見,相見還相遠。
檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓軟。
魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。
可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。
△●○ ●●△● △●○△●
○●●○○ ○△○△●
○●△ ○△● ○●○○●
●○●○○ ○●○○●
3. 相見・相見・相見 見つめあうことで喜びを感じさせる表現である。
4. 檀/真弓 1 ニシキギ科の落葉低木。山野に生え、葉は楕円形で、対生。雌雄異株。初夏、緑白色の小花が集まって咲き、果実はほぼ四角形で、熟すと四つに裂けて赤い種子が現れる。古くは材で弓を作った。やまにしきぎ。かわくまつづら。《季 花=夏 実=秋》2 (「檀弓」とも書く)マユミの木で作った弓。3 襲(かさね)の色目の名。表は蘇芳(すおう)、裏は黄。多く秋に用いる。
5. 荔枝 ライチはムクロジ科の果樹。 レイシとも呼ばれる。1属1種。中国の嶺南地方原産で、熱帯・亜熱帯地方で栽培される。 常緑高木で、葉は偶数羽状複葉で互生する。花は黄緑色で春に咲く。果実は夏に熟し、表面は赤くうろこ状、果皮をむくと食用になる白色半透明で多汁の果肉があり、その中に大きい種子が1個ある。
杜甫の七絶《巻1748 解悶十二首其九》から十二首まで茘枝を面白おかしく詠っている。
767年-121七絶 解悶十二首其九(卷一七(四)頁一五一六)七絶 杜詩詳注( Ⅲ 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8857
6. 金蔓 金銭を得る、つてや手がかり。資金などを出してくれる人。「―をつかむ」ここは金細工の飾り物。
7. 蜻蜓 トンボのかみかざり。 1 トンボ目ヤンマ科の昆虫の総称。体長6センチ以上あり、体は長く太めで、複眼も大きい。翅(はね)は幅広く、翅脈(しみゃく)が太い。昆虫類中最も速く飛ぶ。ギンヤンマ・ルリボシヤンマ・カトリヤンマなど。2 大形のトンボ。
8. 魚鴈 魚中の書簡(魚中の書簡も雁書簡)も雁書簡(雁足)
9. 芳信 1 他人を敬って、その手紙をいう語。慕っている身分の高い人からの手紙。2 花の咲いたという便り。花信。
庭陰 庭の南の草木も終る。
10. 玉肌膚 輝くような白い美肌。
11. 慵懶 慵:ものうい,だるい。懶:1 なんとなく心が晴れ晴れしない。だるくておっくうである。2 苦しい。つらい。
張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛の絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。
【字解集】 f.思越人
思越人
1. (少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)
2.【構成】『花間集』には四首所収。張泌の作は一首収められている。双調五十一字、前段二十五字五句二平韻、後段二十六字四句四仄韻で、33⑥7⑥/❼❻❼❻の詞形をとる。なお、『花間集』の思越人は鷓鴣天、思佳客、醉梅花の異名があるが、時代がもう少しあとになるもので無関係である。
思越人一首
翠屏欹 銀燭背 漏殘清夜迢迢
雙帶繡窠盤錦薦 淚浸花暗香銷
珊瑚枕膩鴉鬟亂 玉纖慵整雲散
若是適來新夢見 離腸爭不千斷
●△○○●● ●○○●○○
○●●○○●● ●△○●○○
○○△●○○● ●○○●○●
△●●△○△● △○○△○●
3. 翠屏 翡翠の飾りのついた屏風。寝牀のまわりに立てる。
4. 迢迢 1 はるかに遠いさま。2 他より高いさま。また、すぐれているさま。
5. 繡窠 二人で一つになった刺繍で飾った布団。窠:巣,ねぐら,做窠巣をつくる.
6. 盤 からまりあう
7. 薦 (1) 推薦する,推挙する.(2) 草.(3) むしろ,ござ、草荐ベッドに敷くござ.
8. 枕膩 枕の赤、油汚れ。
9. 鴉鬟【あかん】①黒い髪の毛。 ②髪の結い方の一つ。あげまき。また、その髪に結った少年・少女。 ③召使の女。
10. 玉纖 指が白くて細く綺麗な様子。
11. 慵 ものうい。けだるい。夢や目標がない様子。
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