花間集 訳注解説 (182)回目牛嶠二十六首《巻四12更漏子三首其二》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8660

182)回目牛嶠二十六首《巻四12更漏子三首其二》 

 

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花間集 訳注解説 (182)回目牛嶠二十六首《巻四12更漏子三首其二》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8660

(更漏子三首 其の二:春の短い夜に夢からさめ、『同心結』の約束を破られて、恨む気持ちになるけれど、天に聞いたら、やっぱり「待つ」ことが女の道であるという。)

春の夜は短く一番良い時もすぐ過ぎてしまう、本当に、時の流れははやく過ぎる、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしを替える事は無く、かき立てるだけでよいほどだ。あのひとの夢をみていてもすぐに覚めて現実におどろく、錦のきれいな屏風の奥の閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になったのだろう。春も進み、閏から見える草木も緑が濃くなる、あの人は他郷の客、帰りを待ち望むだけ、しかし、今もなお消息さえ知れない。私との「同心結」を裏切ったあの人に、情を捧げていることを悔やまれるので、天にそれを告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。待つことしかないと教えられる。

 

 

 

 

 

花間集 巻四

 

 

 

 

 

更漏子三首 其一

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

 

其二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。辜負我,悔憐君,告天天不聞。

 

其三

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

招手別,寸腸結,還是去年時節。書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

 

 

 

花間集 教坊曲《巻四12更漏子三首其二》牛嶠

 

 

花間集 訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8660

 

 

 

更漏子三首 其一

(春の夜、少し離れた宮殿で夜通しの演舞が催されていて、眠りに付けず、寵愛を受け絶頂であった頃を思い浮かべる)

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

今宵は眠れずうとうとしてまた起きて夜空を見れば、星屑の空もようやく疎らになってきて、漏刻の浮子ももしきりに転じている。どこの楼殿で演奏しているのか西域の輪臺曲の演奏の音が聴こえてくるのが寵愛を失った今、怨みに思う。

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

きっとそこの閣殿にお香が被っているし、杏の花はこんな夜でも紅を保っている。月はここの庭だけでなく、すべてを明るく照らし、楊柳は風に吹かれてゆれている。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

寂しくないように、すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれる。ただ、願うのは、二人の心に思うことが「同じことを思う」ということ。

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

妃嬪は、涕と一緒にその言葉を収め、燈火を背に横になる。耀く簪も枕の傍においてしまっている。

 更漏子【こうろうし】三首 其の一

星 漸【ようや】く稀れにして,漏 頻に轉じ,何處にか輪臺 聲怨す。

香 閣掩い,杏花の紅,月明く 楊柳 風す。

錦字を挑げ,情事を記し,惟だ願う 兩つながらの心 相い似る。

淚 語を收め,燈を背にして眠り,玉釵 枕邊に橫わる。

 

更漏子三首 其二

(更漏子三首 其の二:春の短い夜に夢からさめ、『同心結』の約束を破られて、恨む気持ちになるけれど、天に聞いたら、やっぱり「待つ」ことが女の道であるという。)

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

春の夜は短く一番良い時もすぐ過ぎてしまう、本当に、時の流れははやく過ぎる、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしを替える事は無く、かき立てるだけでよいほどだ。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

あのひとの夢をみていてもすぐに覚めて現実におどろく、錦のきれいな屏風の奥の閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になったのだろう。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

春も進み、閏から見える草木も緑が濃くなる、あの人は他郷の客、帰りを待ち望むだけ、しかし、今もなお消息さえ知れない。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

私との「同心結」を裏切ったあの人に、情を捧げていることを悔やまれるので、天にそれを告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。待つことしかないと教えられる。

 

(更漏子【こうろうし】三首 其の二)

春夜 闌【たけなわ】は,更漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭を挑【かか】ぐ。

夢 斷えるを驚き,錦屏 深く,兩 明月の心。

閨艸 碧に,歸客を望むも,還た 是れ消息を知ることなし。

我を辜負【こふ】す,君を憐れみしを悔い,天に告ぐるも天は聞かず。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『更漏子三首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子三首 其二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

 

  (下し文)

其二

春夜 闌【たけなわ】,更漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭を挑【かか】ぐ。

驚夢 斷え,錦屏 深く,兩 明月の心。

閨艸 碧に,歸客を望み,還お 是れ消息を知らず。

我に辜負【こふ】す,君を憐れみしを悔い,天に告ぐるも天は聞かず。

 

 (現代語訳)

(更漏子三首 其の二:春の短い夜に夢からさめ、『同心結』の約束を破られて、恨む気持ちになるけれど、天に聞いたら、やっぱり「待つ」ことが女の道であるという。)

春の夜は短く一番良い時もすぐ過ぎてしまう、本当に、時の流れははやく過ぎる、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしを替える事は無く、かき立てるだけでよいほどだ。

あのひとの夢をみていてもすぐに覚めて現実におどろく、錦のきれいな屏風の奥の閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になったのだろう。

春も進み、閏から見える草木も緑が濃くなる、あの人は他郷の客、帰りを待ち望むだけ、しかし、今もなお消息さえ知れない。

私との「同心結」を裏切ったあの人に、情を捧げていることを悔やまれるので、天にそれを告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。待つことしかないと教えられる。

 

 (訳注)

更漏子三首 其二

14. (更漏子三首 其の二:春の短い夜に夢からさめ、『同心結』の約束を破られて、恨む気持ちになるけれど、天に聞いたら、やっぱり「待つ」ことが女の道であるという。)

15. 【解説】前段は春の夜半過ぎに目が覚めた時の様子を詠じる。後段は夜明けの後、高殿から男の帰りを待ち望んでも消息知れずで、不安な男を愛したことを後悔し、天に男の不実を訴えるが、天はやっぱり「待つ」ことが女の道であるということで、耳を傾けてくれぬと、現状と道理を述べる。

16. 【構成】『花間集』には牛嶠の作が二首収められている。双調四十六字、前段二十三字六句二仄韻二平韻、後段二十三字六句三仄韻二平韻で、3❸❻3③⑤/❸❸❻3③⑤の詞形をとる。更漏子という題で、花間集には温庭筠、韋莊、牛嶠、毛文錫、孫光憲、毛熙震などの作が収録されている。

更漏子三首 其一

星漸稀,漏頻,何處輪臺聲

香閣掩,杏花,月明楊柳

挑錦,記情,惟願兩心相

收淚語,背燈,玉釵橫枕

○△○ ●○● △●○○○△

○●● ●○○ ●○○●△

△●● ●○● ○●●○△●

△●● ●○○ ●○△△○

双調四十六字、前段二十三字六句二仄韻に三平韻、後段二十三字六句二仄韻二平韻で、③❸❻3③⑤/3❸❻3③⑤の詞形をとる。

更漏子三首 其二

春夜,更漏,金燼暗挑殘

驚夢斷,錦屏,兩明月

閨艸碧,望歸,還是不知消

辜負我,悔憐,告天天不

○●○  △●●  ○●●△○●

○△●  ●△△  ●○○●○

○●●  △○●  ○●△○○●

○●●  ●○○  ●○○△△

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春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

春の夜は短く一番良い時もすぐ過ぎてしまう、本当に、時の流れははやく過ぎる、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしを替える事は無く、かき立てるだけでよいほどだ。

17. 春夜闌 春の真夜中過ぎ。春の一番良い時期を過ぎてしまうこと。闌は盛りを過ぎるの意。

18. 更漏促 春の夜は短く、その上時間が早く経過すること。更漏は水時計。ここでは時間、春が過ぎ去ることを意味する。

19. 金燼暗挑殘燭 暗くなった灯火の芯の燃えさしをかき立てる。挑はかき立てる。

 

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

あのひとの夢をみていてもすぐに覚めて現実におどろく、錦のきれいな屏風の奥の閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になったのだろう。

20. 驚夢断 寵愛を受け、良かったころを夢見ることから、はっと夢が覚め、現実に戻っておどろくこと。

21. 両郷明月心 同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまったこと。去るもの日々に疎し。

 

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

春も進み、閏から見える草木も緑が濃くなる、あの人は他郷の客、帰りを待ち望むだけ、しかし、今もなお消息さえ知れない。

22. 閨艸碧 艸:1草本植物的總稱。2. 「竹」之異體。

23. 帰客 帰り来る旅人。ここでは女が帰りを待ちち望んでいる男を指す。

24. 還是 相変わらず、今もなお。

 

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

私との「同心結」を裏切ったあの人に、情を捧げていることを悔やまれるので、天にそれを告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。待つことしかないと教えられる。

25. 辜負 背く、裏切る。

26. 憐 愛惜を注ぐ。

27. 告天天不聞 天に告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。どんなに恨んでも、どんなに二君でも、女としては待つことしかない。この表現と違った表現をしたのが、牛嶠《巻四06應天長二首其二》「莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。」ただ、信じることはできないはずなのに、手紙の中の、愛妾のこころをたぶらかす「断腸」の文字はこころゆらせる。

ということで、牛嶠の比興手法ということである。 
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