花間集 訳注解説 巻二-44 (109)回目韋莊二十二首 -17荷葉盃二首其二》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8216
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| 2017年2月21日 | の紀頌之5つの校注Blog | | ||||
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| ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、現在、李白詩全詩 訳注 | | |||||
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| Ⅱ韓昌黎詩集・文集校注 | | |||||
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| ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集 不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている。花間集連載開始。 | | |||||
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| ●花間集全詩●森鴎外の小説の”魚玄機”詩、芸妓”薛濤”詩。唐から五代詩詞。花間集。玉臺新詠連載開始 | | |||||
| Ⅴ.唐五代詞詩・女性 | ・玉臺新詠 | | ||||
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花間集 訳注解説 巻二-44 (109)回目韋莊二十二首 -17荷葉盃二首其二》 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8216
(初めて娘と話をし、好きになったけれど、美しい娘は後宮に召されるということで別れてしまったそれからというもの音信不通のまま逢うことはできないと詠う。)
あの年、花かげのもとで酒宴を楽しんだことを忘れることはない、それは深夜につづいた。
その時、はじめて娘に声をかけ、話をして好きになった。池にせりでたお座敷の西側の閨で、絵簾を垂れたその中で夜を過ごし、暗黙の内に次の逢瀬の日をきめ、手を携えた。それが娘は、後宮に召されることになり、恨みと嘆かわしいことに、暁の鶯が鳴き、名残の月が出ている中、たがいに別れた。それ以来、音信もなく、二人は隔絶した。 それから今まで、共にそのまま過ていき、むすめはまるで異郷の人というべきなってしまい、逢おうとしてもその手立てすらなくなってしまった。
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| 花間集 巻二 | |
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| 花間集 教坊曲『荷葉盃』十四首 | | ||||||
| 作者 | 巻 | 題 | 初句7字 | | |||
| 溫助教庭筠 | 巻二14 | (改訂)荷葉盃 三首 其一 | 一點露珠凝冷 | | |||
| 巻二15 | (改訂)荷葉盃 三首 其二 | 鏡水夜來秋月 | | ||||
| 巻二16 | (改訂)荷葉盃 三首 其三 | 楚女欲歸南浦 | | ||||
| 韋荘(韋相莊) | 巻二44 | 絶代佳人難得 | | ||||
| 巻二45 | 記得那年花下 | | |||||
| 顧敻(顧太尉敻) | 巻七22 | 春盡小庭花落 | | ||||
| 巻七23 | 歌發誰家筵上 | | |||||
| 巻七24 | 弱柳好花盡拆 | | |||||
| 巻七25 | 記得那時相見 | | |||||
| 巻七26 | 夜久歌聲怨咽 | | |||||
| 巻七27 | 我憶君詩最苦 | | |||||
| 巻七28 | 金鴨香濃鴛被 | | |||||
| 巻七29 | 曲砌蝶飛煙暖 | | |||||
| 巻七30 | 一去又乖期信 | | |||||
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荷葉杯 二首其一
絶代佳人難得、傾国。
花下見無期。
一雙愁黛遠山眉、不忍更思惟。
閒掩翠屏金鳳、残夢。
羅幕畫堂空。
碧天無路信難通、惆悵舊房櫳。
荷葉杯二首其二
記得那年花下、深夜。
初識謝娘時。
水堂西面畫簾垂、攜手暗相期。
惆悵曉鶯殘月、相別。
從此隔音塵。
如今倶是異鄕人、相見更無因。
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| 花間集 教坊曲《荷葉盃二首》韋莊 | |
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荷葉杯 二首其一
(絶世の美人を後宮に召した国は必ず頽廃し、傾国する。美女を送り出したものは思い偲んで、空虚な生活になると詠う。)
絶代佳人難得、傾国。
古来、国中に収集組織を作って集めても、絶世の美人というのは簡単に得られるものではなく、無理に集めて得たとしても、ほとんどその国は頽廃し、国を傾けている。
花下見無期。
無理に集められていった佳人とは花のもとに会う約束日にも逢うことはできない。
一雙愁黛遠山眉、不忍更思惟。
無理に集められていった佳人のことを思うと、大抵、鏡にうつす自分の顔は、縦一筋、横二筋の眉間と額にしわを寄せ、愁いを帯びた黛は遠山の力ないもので、思いは更につのるけれどもう耐えることができない。
閒掩翠屏金鳳、残夢。
こには、用もなくなって待ち侘びて広げたままの屏風があり、きまって金の番の鳳凰がいるもので、そこで夢だけが残っている。
羅幕畫堂空。
絵が画かれた薄絹の帳は空しさだけの閨となっている。
碧天無路信難通、惆悵舊房櫳。
どんな名文であっても、あおい天空に詞文を通わせることは難しく、恨み、嘆いて、引き裂かれた女と少し前まで過ごしていた閨の連子窓を見つめて、きっと佳人も御殿の中で籠の鳥のように過しているだろうと思うのである。
(荷葉杯 二首其の一)
絶代の佳人は得難く、傾国す。
花下に見るに期無し。
一雙の愁黛と遠山の眉にし、更に思惟するに忍びず。
閒かに翠屏の金鳳を掩へば、夢残る。
羅幕の畫堂も空し。
碧天には路無く信は通じ難し、惆悵たり舊房の櫳。
韋荘95《巻2-45 荷葉杯二首其二》
荷葉杯二首其二
(初めて娘と話をし、好きになったけれど、美しい娘は後宮に召されるということで別れてしまったそれからというもの音信不通のまま逢うことはできないと詠う。)
記得那年花下、深夜。
あの年、花かげのもとで酒宴を楽しんだことを忘れることはない、それは深夜につづいた。
初識謝娘時。
その時、はじめて娘に声をかけ、話をして好きになった。
水堂西面畫簾垂、攜手暗相期。
池にせりでたお座敷の西側の閨で、絵簾を垂れたその中で夜を過ごし、暗黙の内に次の逢瀬の日をきめ、手を携えた。
惆悵曉鶯殘月、相別。
それが娘は、後宮に召されることになり、恨みと嘆かわしいことに、暁の鶯が鳴き、名残の月が出ている中、たがいに別れた。
從此隔音塵。
それ以来、音信もなく、二人は隔絶した。
如今倶是異鄕人、相見更無因。
それから今まで、共にそのまま過ていき、むすめはまるで異郷の人というべきなってしまい、逢おうとしてもその手立てすらなくなってしまった。
(荷葉杯二首其の二)
記し得たり 那の年 花の下、 深夜に。
初めて識る 娘と謝【はな】し 時。
水堂 西面にあり 畫簾垂れ、手を攜へ暗に相ひ期す。
惆悵たり 曉の鶯 殘の月、相ひ別る。
此れ從り 音塵 隔つ。
如今 倶に是れ 異鄕の人、相ひ見【まみ】ゆるに更に因る無し。
《荷葉杯二首其二》 現代語訳と訳註
(本文)
荷葉杯二首其二
記得那年花下、深夜。
初識謝娘時。
水堂西面畫簾垂、攜手暗相期。
惆悵曉鶯殘月、相別。
從此隔音塵。
如今倶是異鄕人、相見更無因。
(下し文)
(荷葉杯二首其の二)
記し得たり 那の年 花の下、 深夜に。
初めて識る 娘と謝【はな】し 時。
水堂 西面にあり 畫簾垂れ、手を攜へ暗に相ひ期す。
惆悵たり 曉の鶯 殘の月、相ひ別る。
此れ從り 音塵 隔つ。
如今 倶に是れ 異鄕の人、相ひ見【まみ】ゆるに更に因る無し。
(現代語訳)
(初めて娘と話をし、好きになったけれど、美しい娘は後宮に召されるということで別れてしまったそれからというもの音信不通のまま逢うことはできないと詠う。)
あの年、花かげのもとで酒宴を楽しんだことを忘れることはない、それは深夜につづいた。
その時、はじめて娘に声をかけ、話をして好きになった。
池にせりでたお座敷の西側の閨で、絵簾を垂れたその中で夜を過ごし、暗黙の内に次の逢瀬の日をきめ、手を携えた。
それが娘は、後宮に召されることになり、恨みと嘆かわしいことに、暁の鶯が鳴き、名残の月が出ている中、たがいに別れた。
それ以来、音信もなく、二人は隔絶した。
それから今まで、共にそのまま過ていき、むすめはまるで異郷の人というべきなってしまい、逢おうとしてもその手立てすらなくなってしまった。
(訳注)
荷葉杯二首其二
11.(初めて娘と話をし、好きになったけれど、美しい娘は後宮に召されるということで別れてしまったそれからというもの音信不通のまま逢うことはできないと詠う。)
12.【解説】 韋莊が蜀主王建に奪われた愛妾を偲んで、詠んだものとわれている。前段は、初めての出会いから、楽しい時を過ごしたこと。後段は、絶世の美女愛妾とは二度と会えない非痛な思いを述べていて、荷葉盃二首は、王建に奪われた愛妾を思っていることを言うということで読むと興味深いものになる。実際には、この事件を暗示させるだけで、宴席で笑い話のように詠ったものである。
荷葉杯というのは教坊曲で、秋、蓮をとる季節の乙女の心持を詠うものである。『花聞集』には韋莊の作が.二首収められている。双調五十字、前段二十五字五句二仄韻三平韻、後段二十五字五句二仄韻三平韻で❻❷⑤⑦⑤/❻❷⑤⑦⑤詞形をとる。
同題の溫庭筠 単調二十三字、六句四仄韻二平韻で、❻❷③❼❷③の詞形であり、顧夐の作、九首は、双調二十六字、前段八字二句二仄韻、後段十二字四句四平韻で、❻❷/⑤⑦③③の詞形をとり、三者三様の詞形としている。
荷葉杯 二首其一
絶代佳人難得 傾国
花下見無期 一雙愁黛遠山眉
不忍更思惟
閒掩翠屏金鳳 残夢
羅幕畫堂空
碧天無路信難通 惆悵舊房櫳
荷葉杯二首其二
記得那年花下。 深夜。
初識謝娘時。
水堂西面畫簾垂。 攜手暗相期。
惆悵曉鶯殘月。 相別。
從此隔音塵。
如今倶是異鄕人。 相見更無因。
記得那年花下、深夜。
あの年、花かげのもとで酒宴を楽しんだことを忘れることはない、それは深夜につづいた。
13. ・記得:(俗語・現代語)…を覚えている。(「記」は、覚えている。記憶している。
14. ・那年:(俗語)あのとし。彼(か)のとし。
15. ・花下:花のもと。花底。行楽、酒宴を意味する。
初識謝娘時。
その時、はじめて娘に声をかけ、話をして好きになった。
16. ・初識:はじめて知り合ったとき。
17. ・謝娘:ここは、娘に声をかけて話をする。「あの女性」の意。固有名詞ではあるが、詞では、若くて美しい女性を指す。乙女。マドンナ。
水堂西面畫簾垂、攜手暗相期。
池にせりでたお座敷の西側の閨で、絵簾を垂れたその中で夜を過ごし、暗黙の内に次の逢瀬の日をきめ、手を携えた。
18. ・水堂:水辺の建物。
19. ・畫簾:綺麗に彩色を施した簾。えすだれ。
20. ・攜手:手を持つ。時を共にする際の導入語である。手をたずさえる。閨へエスコートする。
21. ・相期:時間を決めて会うことを心に定める。この頃の情事は夜から日が昇前までを期す。
惆悵曉鶯殘月、相別。
それが娘は、後宮に召されることになり、恨みと嘆かわしいことに、暁の鶯が鳴き、名残の月が出ている中、たがいに別れた。
22. ・惆悵:恨み。
23. ・曉鶯:明け方に鳴き始める鶯の声。
24. ・殘月:沈みかけの月。有り明けの月。曉鶯殘月は、この頃は男は日が昇前に帰るもので、名残月(下弦の月)もその様子をいうもので、男が独り寝で、明け方まで悶々としているということではない。
從此隔音塵。
それ以来、音信もなく、二人は隔絶した。
25. ・從此:(…て、)それ以来ずっと。
26. ・隔音塵:消息、通信がないこと。音塵は、音信、たより。
如今倶是異鄕人、相見更無因。
それから今まで、共にそのまま過ていき、むすめはまるで異郷の人というべきなってしまい、逢おうとしてもその手立てすらなくなってしまった。
27. ・如今:いま。
28. ・倶是:ともに これ。是は、ここでは、接続詞、副詞の語尾として使われている。
29. ・異鄕人:異郷の人。遠く離れてしまったことを云う。後宮に入ったため、異郷にいる人である。
30. ・無因:便りがない。寄る辺がない。無由。